教員情報(秋元 忍)
氏名・職名 | 秋元 忍(あきもと しのぶ,Shinobu Akimoto)准教授 |
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メールアドレス | akimoto [at] kobe-u [dot] ac [dot] jp |
学位 | 博士(体育科学)(筑波大学) |
研究分野 | 体育・スポーツ史 |
[学部] 担当 | 国際人間科学部 » 発達コミュニティ学科 » アクティブライフプログラム |
[大学院] 担当 | 人間発達環境学研究科 » 人間発達専攻 » 行動系 |
研究者情報 | 神戸大学研究者紹介(KUID) |
教員サイト | http://www2.kobe-u.ac.jp/~akimoto/ |
研究紹介 |
19世紀後期英国、近代スポーツ誕生の現場に潜り込む 潜り込むしかない。内部から観察するのだ。しかしどうやって? 時代は大きく変わってしまった。現代日本に生きる私と、1860年代英国のあるスポーツクラブに集い、新しいやり方でスポーツを実践してみせた人々。両者の間には埋めがたい溝がある。彼らの志向や選好を認識したい。そこは近代スポーツを誕生せしめた現場の一つであったからだ。だがもはや彼らに会うことはできない。かなわぬ願いなのだろうか。 潜入のカギはロンドンのある文書館にあった。求めれば幸運はまれにやってくる。彼らはクラブの活動記録を残していたのだ。総会議事録、会計帳簿、メンバーリスト、ヴィジターリスト。これらの痕跡を読み込み、事実と事実を慎重に結い合わせていく。だがそれだけでは足りない。彼らの身体の内部となり、その現場を生きるように、出来事を立体的に再構成しなければならない。そのためには他の多くの周辺史料にあたる必要がある。こうして可能な限り近代スポーツ誕生の現場に深く潜り込んでいく。 以上のような作業から、彼らの様々な志向、選好が少しずつ見えてくる。中にはいま、ここを生きる私に違和感をもたらすものもある。例を挙げよう。この先駆的なスポーツクラブに集った彼らに、顔見知り以外の人々に広く門戸を開く発想を確認することはできない。また1860年代および1870年代前半には、活動はクラブ内のみに留まり、他クラブとの対外試合は全く行われていないか、行われたとしても彼らのゲームのルールを受け入れた少数の相手に限定されていた。彼らはそれで満足していたのだ。 歴史は、現代社会の特徴を、時に暴力的なほどに浮かび上がらせることがある。この事例も同様だ。例えば、みんなのスポーツなる発想は決して普遍的なものではなかったのであり、ある特定の時代に発明されたものなのだ、という気づきを導くだろう。スポーツの現在を相対化し、未来を展望するために、今後も過去の現場への潜入を続けたい。 |
教員写真 |