教員情報(安達 友紀)

氏名・職名 安達 友紀(あだち とものり,Tomonori Adachi)助教
メールアドレス tadachi [at] people [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(人間科学)(大阪大学)
研究分野 臨床心理学、慢性痛、ペインマネジメント
[学部] 担当 国際人間科学部 » 発達コミュニティ学科 » 心の探究プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間発達専攻 » 心理系, 臨床心理学コース
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
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研究紹介

痛みをもつ人のよりよい理解と支援を目指して

病気を予防するための注射、こけてくじいた足、難しい問題に必死で考えをめぐらせるうちに生じる頭痛、エトセトラ、エトセトラ…。これまで生きてきた中で、痛みにまったく出くわしたことがないという人は少ないと思います。多くの痛みは一時的なもので、時とともに治まっていくのですが、一筋縄ではいかない場合があります。こういった、けがや病気が治るはずの期間を過ぎても続いたり、治まったりぶり返したりを繰り返す痛みを慢性痛(まんせいつう)、または慢性疼痛(まんせいとうつう)と呼びます。日本を含めて世界中で調査がなされていて、おおよそ大人の5人に1人がこの慢性痛を持っていると言われています。このことで困っている人というのは本当にたくさんいらっしゃるのです。

痛みというのは単なる体の感覚ではありません。何とも言えない嫌な気持ちも痛みの一部です。そして、痛いときは「何が起こっているんだろう!?」とか、「これがずっと続くとしたら自分には耐えられない」のように様々な考えが浮かび、痛みが生じる病気について長時間調べたり、なるべく家でじっとして過ごしたりといった痛みがあるが故の行動をとることもあるでしょう。このように、痛みは人間の心理や行動に多大な影響をもたらします。薬や注射など優れた痛みの治療はたくさんありますが、それらをもってしても改善が難しい慢性痛を抱える場合が一定数あり、そうした方への支援に心理学が貢献できると思って研究を続けています。これまで痛みがあってもやりたいことができる自信や怒りと慢性痛の関連や、催眠で痛みが治まる様子について調べてきました。働きかけることで変わりうる要因と痛みや生活のしづらさとの関係を捉えることで痛みをもつ人のよりよい理解と支援への道筋が見えてくるのではないかと考えています。今後もこうしたテーマについて知見を積み重ねることで、社会によりよいものを還していくことを目指しています。

 

当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと

大学院で心理学の研究をする上で身につけておいた方がよいことはたくさんあります。心理学理論や心理統計、英語などは、大学院への入学後も学習の継続が必要になるでしょう。こういった具体的なスキルは重要ですが、それ以上に1つのことをぼんやりとでもずっと考え続けることや、気になったことはひとまず自分で調べてみることというようなソフトな力が重要になると思います。ご存じのように、研究するには根気が必要です。

公認心理師や臨床心理士の資格取得を念頭に進学を考えていらっしゃる方には、ボランティアもおすすめしたいです。支援を要する方と関わって得られる体験は代えがたいものですし、それを肌感覚で知っていることはヒューマンサービスに携わっていく際にとても大切だと感じています。

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