教員情報(加藤 佳子)

氏名・職名 加藤 佳子(かとう よしこ,Yoshiko Kato)教授
メールアドレス ykatou [at] crystal [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(教育学)(広島大学)
研究分野 健康教育,健康心理学
[学部] 担当 国際人間科学部 » 発達コミュニティ学科 » 心の探究プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間発達専攻 » 心理系, 1年履修コース
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト http://www2.kobe-u.ac.jp/~ykatou/about.html
研究紹介

理論的な枠組みから健康行動の実践をとらえる

疾病の一次予防について考えるとき、疾病生成モデルと健康生成モデルという概念があります。疾病生成モデルとは、疾病の機序を明らかにし予防接種などにより疾病を予防しようとする考え方で、疾病の一次予防に大きく貢献してきた概念です。
一方、健康生成モデルとは、アントノフスキーという医療社会学者によって提唱された概念です。健康生成モデルが提唱され支持されている背景として、疾病構造の変化により疾病生成モデルによるとらえ方だけでは、一次予防への取り組みが十分でないことが認識されています。健康生成モデルは、健康と健康破綻を連続的なものとしてとらえ、特にストレスが健康に与える影響について注目した概念です。また、人は健康を生成する内的資源と外的資源を持っていると考えられています。内的資源とは、ストレス状況下においても健康を維持することができる人の心的特徴で、感情を調整する役割があるとされています。健康生成に寄与する外的資源としては、ソーシャルサポートや社会文化的な要因などが見いだされています。私は、食行動などの健康行動が健康生成モデルにおいてどのように位置づけられるか仮説をたて検証することによって、健康増進に有効な要因について検討しています。そして、見いだされた要因が健康教育や健康政策において有効な知見として、活用されることを目指しています。
さらに、社会文化的要因と健康との関連を明らかにし社会的な枠組みが外的資源として人の健康にいかに影響するかについて調査するために、オーストリアの研究者とも健康生成モデルに基づいた文化比較研究に取り組んでいます。文化比較研究には、いろいろな難しさがあります。その一つが言葉の問題です。何気なく使っている言葉は文化を背負っています。そのため、共通の尺度を作ることは大変困難です。しかし、この難しさに向かい合うことで、自分の国の健康についてより知ることができると思います。

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