教員情報(小谷野 由紀 )

氏名・職名 小谷野 由紀 (こやの ゆき,Yuki Koyano)助教
メールアドレス koyano [at] garnet [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(理学)(千葉大学)
研究分野 非線形物理学、アクティブマター
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 環境自然科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境基礎科学系, 自然環境論
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
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研究紹介

非線形性が鍵となる多彩な現象を紐解く

1) 自己駆動粒子の運動に内在する分岐構造 単一の自己駆動素子の運動様式は、系の対称性に強く依存します。特に系が対称性を持つ場合には、実験系のあるパラメータを変化させていくと、ある閾値を境に運動する状態と静止した状態の安定性が切り替わることがあります。そのような安定性の切り替わりを分岐と呼びます。自己駆動系には、例えば、自己駆動粒子が複数個相互作用しながら時間発展するといった、より複雑な系が多く存在しますが、対称な自己駆動系の特徴の一つである分岐構造を明らかにすることにより、複雑な系を理解するための足掛かりを得たいと考えています。

2) 流動と拡散の協働現象 コーヒーとミルクを混ぜるとき、スプーンやマドラーを使ってかき混ぜると思います。しかし、そのまま放置しておいても少しずつ混ざっていきます。後者は拡散と呼ばれる現象です。コーヒーとミルクの例のように、二種類の流体が混合するには攪拌と拡散という二つの独立したダイナミクスがあります。ですが近年になって、撹拌能力のない流速場、すなわち、行ったり戻ったりを周期的に繰り返すだけの流速場が拡散を促進する現象が実験的に発見されました。理論的な説明はできるのですが、一般的なことはまだよくわかっていません。そこで、流速場と物質拡散の協働現象の一般的な知見を得ようとしています。ミクロなスケールでは拡散が流体の混合における支配的なダイナミクスである場合が多く、工業的にも重要な知見となることが期待されます。

3) 細胞内の物質拡散 生体内には様々な機能を果たすタンパク質があり、それらは化学エネルギーを消費して再帰的に形状変化します。そのようなアクティブなタンパク質が多数存在する細胞質では、拡散が促進されることが実験的に示されています。タンパク質が形状変化の際に細胞質内に流動を起こすと仮定して立てたモデルを解析すると、複数のタンパク質が引き起こす流動によって拡散が促進することがわかります。ただ、アクティブな素子が協働的にもたらす効果は、はっきりとわかっていないことも多く、現在、様々な可能性について検討を行っています。

 

当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと

ここに挙げる項目を全てを学んでいないと研究に取りかかれない、という訳ではありませんが、よりスムーズに研究に進むために学部のうちに学んでおいてほしいことを示します。まず、微積分学や線形代数などの数学(物理数学)は基礎になりますので学ばれることをお勧めします。また、力学・電磁気学・量子力学・統計力学といった物理の一般的な科目を履習することが好ましいです。物理の科目に関しては、知識として内容を把握するのではなく、扱う物理現象を数式を使って表現し、数式を適切に解き、得られた結果がどのような物理的な意味を表すのか翻訳することに主眼をおいて学ばれることを期待します。

教員写真 Yuki Koyano