教員情報(Emerson Gaw Escolar)

氏名・職名 Emerson Gaw Escolar(えすから えまそん がう,Emerson Gaw Escolar)助教
メールアドレス e [dot] g [dot] escolar [at] people [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(数理学)(九州大学)
研究分野
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 環境数理科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境基礎科学系, 数理情報環境論
研究者情報
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研究紹介

位相的データ解析の研究~複雑なデータの「形」を理解しよう

近年、データ解析の分野において、データの「形」に焦点を当てる位相的データ解析(トポロジカルデータ解析)は、材料科学、脳科学、経済学といった諸科学の問題に応用され、新たな発見をもたらしています。自然科学や社会科学における複雑な事象に対して、その事象の本質的な「形」を捉えることができれば、より深い洞察が得られるかもしれません。位相的データ解析は位相幾何学や代数的トポロジーのアイデアを用いて、データの形を記述しています。主な手法は二つあって、それは高次元で複雑なデータの本質的な形をネットワークとして可視化できるMapper解析と、データの「穴」といった特徴のマルチスケールな情報を取り出せるパーシステントホモロジー解析です。また、位相的データ解析は幅広い分野に応用されていて、応用研究を通じて新たな数学の課題が浮上しています。それに伴い、表現論、確率論、最適輸送理論、代数幾何といった数学の様々な分野と連携して数学理論としても急速に発展しています。

私たちの研究室では、位相的データ解析の手法開発(理論研究とソフトウェア開発)及びその応用研究を行っています。最近では、パーシステントホモロジーの拡張版(マルチパラメータ版)の開発に取り組んでいます。このマルチパラメータ化では、たとえばデータのマルチスケールな特徴の経時変化の解析など、より細かい解析が可能となると期待されています。この研究では、表現論、組合せ論、ホモロジー代数などを使って研究を進めています。また、位相的データ解析の様々な分野への応用研究も行っています。たとえば、Mapper解析を用いて、企業の「技術空間」を描写して、企業の技術開発の独自性等について調べています。他に、料理の研究への応用として、「料理空間」の構造を数学的に解明する研究を進めています。位相的データ解析は中心となっていますが、他の関連するデータ解析の手法も扱っています。

 

当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと

線形代数、位相幾何学、離散数学やプログラミング(言語は不問)の基礎的知識を学んでおいてほしいと思います。パーシステントホモロジーの理論研究では、さらに代数系(加群論など)も必要になります。なお、以上で挙げた基礎知識は、実際の研究を行いながら必要に応じて勉強して補うことができるので、当研究室に入る時点で完全にマスターしなくてもいいと思います。また、位相的データ解析の研究は、様々な分野との関連があってこそ急速に発展してきました。従来の発想にとらわれずに新たな切り口を開くような研究をするためには、深い知識だけではなく、幅広い知識も学んで欲しいと思います。

教員写真 Emerson Gaw Escolar