教員情報(黒澤 耕介)

氏名・職名 黒澤 耕介(くろさわ こうすけ,Kosuke Kurosawa)准教授
メールアドレス kosuke [dot] kurosawa [at] people [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(科学)(東京大学)
研究分野 惑星科学、宇宙生物学、衝突物理学
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 環境自然科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境基礎科学系
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト
研究紹介

宇宙に開かれた惑星システム: 天体衝突が引き起こす表層環境変動

地球はなぜ水と生命に溢れる惑星になったのでしょうか?この問いを探求するには初期の地球環境を知ることが必要です。私は高速度天体衝突の役割に注目しています。現在では生命誕生前の地球(およそ40億年前)には現在の数100倍の高頻度で天体衝突が起きていたことがわかっています。初期の太陽系天体は「天体重爆撃」に晒されていたのです。6550万年前に起きた恐竜絶滅事件は直径10km程度の天体衝突によって引き起こされました。それ以上の規模の天体衝突が100万年に1回以上の割合で起きていたと推定されます。天体重爆撃により太陽系天体の表層環境は溶かされ、破砕され、かき混ぜられてしまうでしょう。生命が生まれる前の地球表層はこのような極限環境だったと思われます。地球ではそれ以前の地質情報は失われてしまったため、この時代は冥王代と呼ばれています。天体衝突頻度が減少し、岩石が残存するようになった時点が地球表層環境の時間の原点であると見ることができます。私は天体衝突が引き起こす物理、化学の素過程を解明することで、「地球表層環境の初期条件」を明らかにするために高速度衝突実験を行なっています。

人類は未踏領域を求めて惑星探査機を地球外天体に送り、現地の試料を持ち帰ることができる時代になりました。ここで新たに登場したのが「惑星保護、惑星検疫」という問題です。これは地球生命で他の天体を汚染しない、未知の生命体を不用意に持ち帰らないために国際的な規約が定められています。惑星探査を計画する際には地球外天体の表層環境において生物が生存可能か否か、いるとしたらどの程度の生物数を環境で賄うことができるのか?を検討しなければなりません。これはまさに環境問題であり、環境科学が他天体上で展開されつつあります。私は天体衝突の知識と経験をもとにこの問題に取り組んでいます。

 

当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと

惑星科学や宇宙生物学は複合応用科学です。研究に取り組むには自然科学について幅広く知識を吸収する学習姿勢と、それらを有機的に結びつけ、現実の問題に応用していく実践能力が求められます。環境自然科学プログラムで開講している講義全般を履修しておくと、研究を進めていく上で役に立つでしょう。特に力学、熱力学、統計力学とそれを支える物理数学は具体的に研究を進めていく上で重要な下地ですので、学部でよく勉強しておくことが望ましいです。黒澤研究室では実験的な研究を主に行なっておりますが、必要に応じて数値解析も取り入れます。初歩的な計算機操作を学部で勉強しておくとよいと思います。

教員写真 黒澤 耕介