多様な学びのあり方から社会が変わるきっかけを探る 主に、以下2つの研究・実践に取り組んでいます。 ⑴当事者性学習論の展開 「当事者性」とは、ある人と、社会問題やテーマとの関係性を示す言葉です。環境問題やジェンダーの問題、障害をめぐる問題などの「社会問題」はとても大きく複雑でそれらにアプローチすることは簡単ではなさそうです。しかし、みなさんがふだんの生活の中で感じているような「もやもや」や小さな悩み・不安は、よくよく考えてみるとなんらかの「社会問題」につながっているかもしれません。このような意味での各人と社会とのつながりを「当事者性」と呼び、あらゆる人は複数の当事者性を絶えず変容させながら生きているということ前提とした学びのあり方を示すのが「当事者性学習論」です。人やコミュニティの変容過程を多角的に観察・分析・整理しようとしています。 ⑵ESDプラットフォーム創成実践 地球の持続可能性に関わる諸問題を、異なる立場にいる人たちとともに解決していこうとする運動をESD(持続可能な開発のための教育)といいます。ESDの推進には、学校内外の多様な現場でさまざまな特徴をもった人たちが学び合うことが不可欠です。本研究室では、特に、複数のテーマが交差する「プラットフォーム」に注目して多層的・多元的な学びの場を生み出そうとしています。具体的には、インドのスラムへのスタディツアー、ハンセン病療養所や被災地、農村地域でのボランティアプログラムなどです。ツアーやボランティア、ワークショップなどの手法を用いて、あらゆる人が社会を形づくるプロセスに関わることができるようなプラットフォームづくりを、大学生・院生、若手社会人をはじめとするユースとともに悩みながら進めています。さまざまな課題を抱えるフィールドと関わることを通して豊かな学びが生まれるには、どのような空間、仕掛け、ツール、コミュニティが求められるのでしょうか。一緒に活動しながら考えていきましょう。 当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと ⑴社会教育・生涯学習に関する基礎的な知識 社会教育・生涯学習の知見に学びながら研究を進めることになるので、関連する概念や考え方への理解を深めておくと研究に着手しやすいのではないかと思います。 ⑵素朴な疑問から問いを立てる力 人やコミュニティと関わる研究において、どのような問題意識をもってテーマを設定するか、ということはとても大切です。生活の中で生まれるさまざまな違和感や疑問を、「問い」として言語化する練習をしておくとよいと思います。 ⑶具体的な事象と抽象的な概念を対応させて考える力 目の前にある課題を既存の研究や概念と結びつけ、構造的に解釈していくことも求められます。少しずつ身につけていきましょう。
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