教員情報(太田 和宏)

氏名・職名 太田 和宏(おおた かずひろ,Kazuhiro Ota)教授
メールアドレス otak [at] kobe-u [dot] ac [dot] jp
取得大学 社会学修士(一橋大学)
研究分野 途上国政治経済
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 社会共生科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境形成科学系, 社会環境論
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
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研究紹介

現実社会と対峙した知的チャレンジを!

フィリピンにおける貧困問題、貧困政策を軸に国家のあり方について研究をしています。なぜフィリピンでは貧困問題が解決しないのか。一見単純なこの問題の背景に、さまざまな社会関係や利害構造がひそんでいます。フィリピンは他の途上国に比較しても政府が組織的に貧困対策に取り組んでいます。世界銀行や国連などの国際機関の支援活動も積極的に行われています。さらにNGOなど市民運動が広く展開しています。にも拘らず、貧困の解消は他国に比して緩慢です。こうした相矛盾するひとつひとつの要素を読み解きながら分析を試みています。国家機能、国家・市場関係、市民社会構成などに分節化しながら問題の所在を探っています。さまざまな問題を掘り下げて検討してみると、常識的理解のみならず一般的学問領域における共通理解さえも、さほど自明でないという場面にしばしば遭遇します。例えば、政府政策が決定され施行された際に、多くの社会構成員がそれに従うことが求められ、またそれを前提に学問的思考も成り立っています。しかし、フィリピン社会の現実を見てみると、政策ができたものの多くのものがそれに従わないばかりか、政策を決定した当の本人らがそれを履行する意思すらなく、むしろその政策を利用して自らの利益に供してしまうことがよくあります。国家機能の基本的部分が前提された状況と大きく異なるわけです。
さてそれをどう考えるかです。実態を規範的国家機能の「不足」、つまりフィリピン国家の「不十分さ」とみなすのか、あるいは国家機能の前提そのものを流動的に捉え国家のあり方自体を疑うべきなのか。ああでもない、こうでもないといつも悩みながら、同時に思考することを楽しくも感じます。
学問とは現実に進行する実態の本質をどのように読み取り、そして実社会にどのように還元していくのかという知的作業です。領域は違えど、そんな知的挑戦をぜひ多くの方にしてもらいたいと願っています。

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