教員情報(周 怡)

氏名・職名 周 怡(ぞう い,Yi Zhou)助教
メールアドレス zhouy [at] people [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(大阪大学)
研究分野 医学統計学、生物統計学
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 環境数理科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境基礎科学系, 数理情報環境論
研究者情報
教員サイト
研究紹介

私の研究分野は生物統計学であり、統計的手法を用いて人々の健康アウトカムの理解と改善を図ることを目的としています。特に私は、臨床研究やリアルワールドデータ(Real-world data)におけるデータ分析、研究デザインおよび統計モデルの方法論に強い関心を持っています。近年は、エビデンスに基づく医療(Evidence-based medicine)への貢献を目指し、意思決定の妥当性がデータに基づく信頼性の高い結果によって裏付けられるよう、統計手法の開発に取り組んでいます。

 

医療分野においては、特定の疾患に対する治療法や薬剤の有効性を検証するために、介入臨床試験が標準的に実施されます。また、診断試験では、医学的検査により疾患の有無を正確に判別できるかどうかを評価することが目的とされます。しかし、これらの研究はいずれも対象者数や研究規模に制限があるため、単一の試験から得られる結果が必ずしも十分な信頼性を持つとは限りません。一方で、同様の目的をもつ研究は国内外のさまざまな地域や時期に実施されており、適切な統計手法を用いることで、それら複数の研究結果を統合し、より精度の高い結論を導くことが可能です。
このような統合的解析手法は「メタアナリシス(Meta-analysis)」と呼ばれます。ただし、メタアナリシスの結果にはさまざまなバイアスが含まれる可能性があり、代表的なものが「公表バイアス(publication bias)」です。有意で肯定的な結果を示す研究の方が出版されやすい傾向があるため、メタアナリシスの結果も過度に楽観的な推定につながることが指摘されています。私の研究では、このような公表バイアスに対処するための統計的手法の開発にも取り組んでおり、医療分野における意思決定の質を高めるために、より正確かつ信頼性の高いエビデンスの提供を目指しています。

 

当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと

学部の段階では、統計分布、仮説検定、回帰モデルといった基本的な統計概念を理解しておくことが望ましいと考えています。また、微分積分・線形代数などの数学的基礎があると、統計的な考え方を学ぶことができます。統計に関する知識がまだ十分でなくても、統計的手法を使って課題に取り組むことに興味があれば問題ありません。プログラミングの経験があれば研究はよりスムーズに進みますが、必須ではありません。統計的問題解決に興味があるなら、将来さらに詳しく学ぶことができます。

教員写真 Yi Zhou