教員情報(原 将也)

氏名・職名 原 将也(はら まさや,Masaya Hara)助教
メールアドレス masahara [at] bear [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(地域研究)(京都大学)
研究分野 地域研究、地理学
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 社会共生科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境形成科学系, 社会環境論
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト
研究紹介

地域の文脈から世界を読み解く地域研究

わたしの専門分野は地域研究です。学部生のときには地理学を専攻し、大学院生のときからアフリカのザンビアの農村で生業に関するフィールドワークをおこなっています。地域研究とは、地域の実態を総合的に理解する学問領域で、そこに内在する課題をあぶりだし、その解決に向けて住民と協働することもあります。ひとつの地域に長くかかわり、そこで研究者・調査者自身が人間関係を構築しながら、そこに生きる人びとの視点から実態を把握していきます。フィールドの変化によって、自身の研究の方向性が変わることもあり、地域の変化は地域だけではなく、国や世界における社会や経済、政治、自然環境の変化とも密接につながっています。地域の実態を明らかにするためには、既存の学問領域の枠にとらわれることなく、学際的な視点、手法を取り入れる姿勢が大切になります。

わたしはザンビアの多民族農村で、焼畑農耕を中心に営む人びとの暮らしについて、生業の形態や食料確保の実践、生態資源の利用、移住による生活環境の変化、民族間の関係性、地域史などの点から、総合的に明らかにしています。焼畑農耕の参与観察や生態調査、個人の移住史の聞き取り調査、植民地時代の地域の統治構造に関する資料収集など、さまざまな分野の手法を取り入れながら、ザンビア農村の暮らしの実態を実証的に調べています。たとえば、村びとによる農法や食料確保の実践を調べるとともに、国家による農業政策や世界の食料事情について資料や文献から調査することを通して、人びとの暮らしと国や世界規模で生じる現象とのつながりについて、地域の視点から検証していきます。

こうした地域研究の手法や姿勢は、現代社会に内在する諸問題の解決の糸口を探ることにもつながります。環境問題や貧困問題、経済格差など、さまざまな問題に関心をもつとき、問題解決を急ぐのではなく、まずは問題が生じている地域の実態や特性、そこに生きる人びとの暮らしを理解し、地域の文脈から方策を検討することが重要になります。アフリカに限らず、関心をもつ世界や日本各地のフィールドに身を置き、自分ごととしてそこに生きる人びとの暮らしに着目し、フィールドワークに取り組んでみませんか。

当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと

大学院で研究に取り組むにあたって、特定の知識が必要というわけではありません。ただし、学部のときに自身が専門とした分野における知識や技術をしっかりと身に着けて、自分のものとしておくことが望ましいです。また自分自身の関心のある地域やテーマについて、学術的な知識だけでなく、ひろく社会のなかでどのような議論がおこなわれているのか、理解しておくことが重要です。地域研究では、さまざまな視点からいまを生きる人びとの暮らしの実態にアプローチしていきますので、常にアンテナを張って最新のニュースや情報を収集する姿勢が大切です。一見すると自身の関心とは異なるようなテーマに関しても興味を抱き、知見をひろげていけるよう、視野をひろくしようと心がける人を歓迎しています。

教員写真 Masaya Hara