教員情報(佐藤 真行)

氏名・職名 佐藤 真行(さとう まさゆき,Masayuki Sato)教授
メールアドレス msat [at] port [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(経済学)(京都大学)
研究分野 環境経済学、環境政策論
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 生活共生科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境形成科学系, 生活環境論
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト http://www2.kobe-u.ac.jp/~es80owe
研究紹介

持続可能な発展とライフスタイルを環境と経済の観点から考える

いま、「豊かさ」が再検討されています。これまでは、経済を成長させることが豊かさにつながると考えられ、経済成長は政策的にも相当高い優先課題とされてきました。たしかに経済成長によって生活は便利になり、快適になりました。ところが、人々の幸福度は経済が成長したほどには増加しませんでした。この現象は「Easterlinの逆説」として経済学や心理学など幅広い学問的関心を集めています。同時に、環境・資源・生態系の観点から、こうした経済成長の持続可能性も問われています。

 私の研究室では、環境経済学的な観点からこうした問題に取り組んでいます。こんにちの大量消費・大量生産・大量廃棄の経済システムとライフスタイルは、大量の資源を消費し、同時に環境や生態系に深刻な負荷を与えながら存立しています。いうまでもなく、環境・資源・生態系は有限であるため、持続可能な発展のためにはこうした経済システムを改変する必要があります。改変の指針を示すための経済学的な分析方法として、GDPに代表されるフロー指標ではなく、ストックに着目するInclusive capital approachがあります。私の研究室では、人工資本、人的資本、自然資本の動向についてデータを収集し、計量経済分析を行っています。

 環境問題は、幸福度と経済成長が必ずしも比例しない理由についても関連します。経済成長(GDPの伸び)は物質的な豊かさの測る有力な指標ではありますが、そこには測り漏れている重要な要因が多く存在します。我が国ではGDPの急速な伸びと同時に公害問題やゴミ問題、資源枯渇やエネルギー問題など多くの歪みが生じました。人々の幸福や生活の質を考える際にはGDPだけに注目するわけにはいきません。私の研究室では、GDPで勘定されない要素として特に環境を考えます。環境は「価格のつかない価値物」です。これをどう評価するかは重要な問題で、環境経済学では環境評価と呼ばれる分野で取り組まれておりますが、私の研究においても重要な課題です。

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