教員情報(余田 有希子)

氏名・職名 余田 有希子(よでん ゆきこ,Yukiko Yoden)助教
メールアドレス yoden [dot] yukiko [at] people [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(学術)(東京藝術大学)
研究分野 音楽音響制作
[学部] 担当 国際人間科学部 » 発達コミュニティ学科 » ミュージックコミュニケーションプログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間発達専攻 » 表現系, 表現創造
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト
研究紹介

人間が表現する意味と創作技法の探求

20世紀以降、音楽・音響表現は常にテクノロジーの影響を受けながら発展してきました。現代ではAIによる楽曲の自動生成の技術も発達しています。人間が音楽で表現すること、創造することにはどのような意味があるのか、私達を取り巻く環境やテクノロジーの中でもう一度捉え直すとともに、その創作技法について実践と理論の両面から探求しています。

創作面では、映画やアニメーションといった映像表現や、パフォーマンス、インスタレーションなど、様々な表現領域のための音楽・音響制作に取り組み、オーケストラ、和楽器、シンセサイザー、環境音など多様な音色を用いながら、「場」や「環境」に相応しい音楽・音響のあり方を模索しています。その他、マルチチャンネル音響システムにおける音楽・音響制作の実践を通じて、「空間性」を念頭においた新たな表現手法の可能性についても探求しています。

研究面では、創作実践の中から生まれた様々な問いを、文献研究や楽譜分析などを通して多角的に考察しています。例えば、映画音楽における楽器法について、特に録音・再生技術が未だ現代のように進化していないトーキー初期においてどのような影響を受けていたのか、テクノロジーとの関連性から考察し、当時の作曲家がどのような背景から実践を行っていたのかを明らかにしました。

その他、現在取り組んでいる研究としては、サイレント映画の時代に数多く編纂・出版された伴奏譜集をもとに、映画音楽の情景・感情・アクションがどのように音楽構造に表出されるのか、コンピュータによる楽譜分析ツールを用いて、その旋律パターンやリズム、調性の推移を解析し、作品・作家単位ではなくマクロな視点から、通底する要素を探っています。

―これまでに手がけた主な作品―
『mimesis』(2018)和楽器を用いた56.8chの立体音響作品
『藤原京と平城京』(2017)薬師寺食堂落慶法要式典のための奉納オーケストラ曲
『就活狂想曲』(2012)吉田まほ監督アニメーション作品のための音楽

 

当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと

創作者としての視点から様々な研究課題に取り組むため、音楽・音響制作に必要となる基本的な知識や経験を持っていることを望みます。また、可能であれば音響に関する基礎的な知識についても習得しておいていただくと良いです。

研究を遂行する上では、実践や考察の結果を理論立てて記述する能力も必要となります。 修了生には、従来の枠組みにとらわれない新たな音楽・音響表現の可能性を拡げる柔軟な姿勢をもとに、現代の社会や環境に対応した創造力を発揮することを期待しています。

教員写真 Yukiko_Yoden