教員情報(木伏 紅緒)

氏名・職名 木伏 紅緒(きぶし べにお,Benio Kibushi)助教
メールアドレス kibushi [dot] b [at] ruby [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(人間・環境学)(京都大学)
研究分野 身体運動制御、ニューロメカニクス
[学部] 担当 国際人間科学部 » 発達コミュニティ学科 » アクティブライフプログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間発達専攻 » 行動系
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト http://www2.kobe-u.ac.jp/~kibushi/
研究紹介

筋肉や関節の制御メカニズムからみた「良い動き」を知る

私の研究の原点となっているのは、「良い動きはどうしたらできるのか?」という素朴な疑問です。「良い動き」という言葉は比較的よく使われますが、何を指すのかは状況によって異なるため、定義をその時々で明確にする必要があります。身体運動制御学では、「良い動き」や「良くない動き」の定量的な定義を、運動中の身体重心の挙動や地面に加えた力、関節が発揮する力などの分析から行います。人間が自分の意志で関節を動かすまでには、脳で運動を計画し、神経を介して電気信号を筋肉へ伝達し、筋肉を適度に収縮させ、任意の関節が動く、といういくつかのプロセスがあります。ダイナミックな運動中での脳活動計測は今の技術では難しいため、筋肉での電気活動を計測・分析することで、どういう制御がなされたのかを解釈する手法がよく使われています。私の研究室では、運動中での筋肉の電気活動や、関節の動きを計測・分析することで、「良い動き」または「良くない動き」を生じさせる制御メカニズムへの理解を深めることを目指しています。

 

具体的にどのような制御を調べているのかというと、筋肉同士を協力させる制御システム(筋シナジー)、関節同士の協力、機能が競合する筋肉間の同時活性化(筋共収縮)などです。例えば、過去の研究で、高齢者の至適歩行速度は若齢者よりも遅いことと、高齢者はふくらはぎとスネの筋肉間での筋共収縮率を高めるような筋シナジーの特徴を持っていることを明らかにしました。このように、動作能力の差を生んでいる一因が神経制御の側面から分かるのです。この研究枠組みは、日常動作だけでなく、スポーツ動作にも使えます。研究成果は、「良い動き」や「良くない動き」の理論的背景となり、理論に裏付けられた運動処方やトレーニング方法の開発などにつながります。

 

当研究室で研究をする場合に、学部で学んでおいてほしいこと

身体運動制御は、医学と工学の複合領域であるため、幅広い知識と能力が求められます。具体的には、運動生理学、神経科学、バイオメカニクス分野の知識がベースとなっています。また、実験と分析にはプログラミングが必須となります。ただ、知識や能力は、真剣に打ち込めるものを発見できれば自然と身につくはずなので、学部では「自分が本気で打ち込めるものは何か?」を講義や遊びを通して考えてみてください。

教員写真 Benio Kibushi