音楽文化史ゼミでは、2014年から研究科の学術WEEKSで「音楽文化のトランスボーダー」と題して、ジャンルや文化圏、時代などを越境し、新たな問いを投げかける音楽文化の豊かさと可能性を、実際の舞台上演を通して紹介し、アフタートークではアートによる「文化的記憶」のありかたを問う機会を設けてきました。
https://researchmap.jp/Misako_Ohta/othersVol.10となる今回は、「三文オペラ」の数々のソングを「カヴァレット」にアレンジした「剃刀横丁のオペラ」(構成: 服部吉次)を上演して頂きます。
三文オペラの音楽を作曲したヴァイルは、今年生誕125周年。実は本公演は、「音楽文化のトランスボーダー」シリーズのvol.1として、企画の原点となる舞台でもありました。11年目にして原点回帰の再演です。この『剃刀横丁のオペラ』の背景には、時代を明治元年に読み替えた劇団黒テント版の『三文オペラ』(台本:山元清多、演出: 佐藤信)があります。1928年の初演以来、世界で上演されてきた三文オペラ上演史を振り返っても、色褪せることのない斬新な読み替えといきいきとした言葉。その伝説の公演で「マック・ザ・ナイフ」こと「モリタート」を歌ったのが、服部吉次さんでした。そして、軽妙洒脱な語りで繋ぐ服部さんのひとり語りと黒田さんのピアノ演奏による『剃刀横丁のオペラ』は、語りと歌を自由に往来するベルリンのカヴァレットのようであり、江戸前落語のようでもあり。
特に服部さんの「ソング」のスタンスは絶妙です。ブレヒトの言葉とヴァイルの音楽を束ねた矢が突然鋭く放たれます。お二人の舞台は、100年近くさまざまなかたちで上演されてきたこの作品の可能性を示すとともに、それぞれの道を極められた服部さんと黒田さんだから可能なかたちであることに気づかされるのです。
この貴重な瞬間を皆さんとご一緒できるなど、なんと幸せなことでしょう。(大田美佐子)出演
歌・構成 服部吉次(俳優)
ピアノ 黒田京子(音楽家)
アフタートーク 司会 大田美佐子
広報美術: 竹ノ内彩香日時
2025年12月15日(月)17:30開場 18時開演
場所
神戸大学 鶴甲第二キャンパス C111(C棟ホール)
対象・参加方法など
学生、研究者、一般(問い合わせ先までメールでご連絡ください)
企画・お問い合わせ先
表現系講座 音楽文化史研究室
大田美佐子 Mail:misaohta [at] kobe-u [dot] ac [dot] jp主催
神戸大学大学院人間発達環境学研究科 学術Weeks2025
関連情報
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| フライヤー | 2.86 MB |