教員情報(阪本 雄二)

氏名・職名 阪本 雄二(さかもと ゆうじ,Yuji Sakamoto)准教授
メールアドレス sakamoto [at] main [dot] h [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(理学)(大阪大学)
研究分野 数理統計学
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 環境数理科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境基礎科学系, 数理情報環境論
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
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研究紹介

確率的なダイナミックスを探る統計解析法と統計数学

数理統計学においては、不確実性を含む情報の信頼性を確率的に評価することが重要です。管理された実験条件のもと繰り返し観測されるデータの場合は、個々のデータ間の独立性が保証され、データの出現法則が正規分布であると仮定できることが多いため、情報の信頼性をティー分布やエフ分布を用いて評価することが可能です。一方、データ間の独立性が保証されても、個々のデータが複数個の数値で構成されるベクトルである場合や、時系列データのようにデータ間の独立性が保証されない場合は、情報から帰結される結論の信頼性を正確に評価するのが困難です。その問題を解決するため、統計的漸近展開と呼ばれる確率分布の近似公式を系統的に求める方法が発展してきました。

私たちの研究室では、データがεマルコフ性と呼ばれる独立性を拡張した性質を持ち、統計量が加法的汎関数の多項式として表される場合について、その漸近展開の研究を行っています。加法的汎関数に関する漸近展開の近似精度は、一般化されたマリアバン共分散の非退化性により保証されることが知られていますが、私たちは、その多項式に関する漸近展開の近似精度がバチャタリア=ゴーシュ写像により保存されることを証明しました。その応用として、M推定量の多項式近似から、M推定量の確率分布の漸近展開を導出しました。この結果は、拡散過程に 基づく最尤推定量の漸近展開を典型的な例として含む一般的なものであり、多くの具体的なモデルへの適用が期待できます。

また、尤度比統計量などの検定統計量に関しても、多項式近似を利用して、精度保証付きのラゲール展開を求めることに成功しました。今後は、レビーノイズを含むモデルに対する漸近展開や、鞍点法とよばれる裾確率の高精度近似について研究を進めたいと考えています。最近はエンドポイントの検出などに有効なFDR基準による多重検定法などの研究も行っています。

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