教員情報(WATANABE Akio)

氏名・職名 渡部 昭男(わたなべ あきお,WATANABE Akio)教授
メールアドレス akiowtnb [at] port.kobe-u.ac.jp
取得学位 教育学修士 (京都大学)
研究分野 教育行政学(地域教育学,特別ニーズ教育)
[学部] 所属 人間形成学科 教育科学論コース, 学校教育論コース
研究テーマ

「学校」は個人的な体験と想い出の場に留まりません。特別ニーズ児を含む人間発達や地域創造の視点から教育行政の在り方を探求しています。

[大学院] 所属 [博士課程前期課程] 人間発達専攻 学び系講座
[博士課程後期課程] 人間発達専攻 学び系講座
[(旧)博士課程前期課程] 教育・学習専攻 教育科学論コース
[(旧)博士課程後期課程] 教育・学習専攻 教育科学論分野
研究テーマ

特別ニーズ児を含む人間発達と地域創造を保障できるような教育行政の在り方,特に住民と身近な基礎自治体(市町村)の可能性を探っています。

研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト
研究室紹介 さまざまな周波数帯や回路にアクセスできる柔軟な思考と発想

全学共通科目の教養原論「教育学」では,種々の教育問題を憲法にそくして読み解きます。15講には「生徒の自己決定権」「宗教と公立学校」「親の教育の自由」などがあり,受講生は次第に視野を広げていきます。人よりも速く正答を求めるといった受験学力を崩し,さまざまな知や考えにアクセスする楽しさを感じ取ってもらいます。専門科目の「教育政策」「教育行政学」では,権利主体である個々人の幸福追求を志向しつつ,生まれてから亡くなるまでの生涯にわたる発達保障,地域での子育て・学び・労働・生活・看取り等をベースに,中央集権的な従来の枠組みを捉え返します。出身自治体に関するレポートを積み重ねて,47都道府県,1700余りの市区町村で施策が実に多様であることを発見します。「教育学研究法」で論文作成法を演習した上で,自らがテーマを定めて卒業研究に挑戦です。調べ深め,論理的に書き上げ,説得的に発表する力は人生を面白くしてくれるはずです。

研究最前線 Right to Developmentを人間と社会の幸福追求から読み解く

かつて,障害の重い子は就学猶予・免除制度が適用されて不就学状態にありました。私は憲法で規定する「教育を受ける権利」が実現できていないのは何故なのかという問題意識から,教育行政学を専攻に選び,権利侵害から権利保障へ転ずる方途の解明にこだわってきました。
大学院時代には,戦前の文部行政が切り捨てた子どもたちを福祉領域が引き受けて,保護や教育を試み,戦後の権利保障思想を準備したことを探究しました。
1960年代に入ると,「この子らを世の光に」という言葉で有名な糸賀一雄と田中昌人らによって近江学園・びわこ学園で「発達保障」の実践と研究が進められ,重症児が変容する姿が示されました。そして,「教育を受ける権利」が重症児を含めてあまねく保障され,やがて高等部希望者全員進学さえも達成するに至った過程を,『「特殊教育」行政の実証的研究』(1996年)としてまとめています。転換の背景には,国に法制を整備させ,行政運用を正す権利保障運動があり,これに呼応する形で,「能力に応じて,ひとしく」という憲法条文を「発達に必要かつ適切な」と読み深める学問上の進展がありました。「発達科学」による成果の一つです。
生まれてから亡くなるまでの生涯にわたり,すべての人々の発達保障や幸福実現に資する行政・政策はどうあるべきか・・・。国家レベルというよりも,権利主体である個々人に身近な地域社会や自治体を基軸にして,「産み・育て・躾け・教える」という人間形成や地域教育の営みにおいて学校教育をとらえ直す作業を現在進めています。
国際社会は今,Right to Development(発達・発展・開発への権利)を提起できるまでに成熟してきました。平和や環境問題と同様に一国内では完結せず,その具体化には広く世界が地球規模で連帯することが不可欠です。利益優先の開発が個人の発達や地域の発展を侵してきた過ち(公害問題・原発被害など)を繰り返さないよう,Right to Developmentを人間と社会の幸福追求から読み解きたいと思います。