教員情報(吉永 潤)

氏名・職名 吉永 潤(よしなが じゅん,Jun Yoshinaga)教授
メールアドレス yoshinag [at] kobe-u [dot] ac [dot] jp
取得大学 修士 (教育学)(東京大学)
研究分野 社会認識教育論
[学部] 担当 国際人間科学部 » 子ども教育学科 » 学校教育学コース, 乳幼児教育学コース
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間発達専攻 » 教育系, 教育科学
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト
研究紹介

社会科がめざす公民的資質とは何?この問いにこだわっています

社会認識教育論とは、社会科 (地歴科、公民科) 教育において何をどのように教えるべきかを考察する研究分野です。その中でも私が一貫して考えてきたのは、社会科の中心的な教育目標として掲げられる「公民的資質」とは何かという原理的な問題です。

私がこれまでに最も衝撃を受けた本の一つに、ホッブズ (17世紀イギリスの思想家) の『リヴァイアサン』があります。ホッブズは、人間は本性として自己保存をめざす利己的存在であるため、人間が互いに争い殺し合う状態こそむしろ本来の状態であると言います。この本を読んで以来、なぜ人間は共存が可能なのか、なぜ社会にルールや秩序が成立可能なのかが頭を離れない問題となりました。こんな私にとって公民的資質とは「他者と殺し合わず、共存のためのルールに従いうる能力」という殺伐とした定義となります。具体的には、(1) 共存のためのルールの必要性や、その成立の歴史的由来などにつき理解できる。(2) そのルールに沿った社会生活を行える。(3) そのルールをより改善するための営み (=政治) に参加できる、という三つの能力条件を考えています。皆さんが学んできた社会科の内容は、これらの条件にかなり当てはまりませんか?

でもまだ問題は残ります。共存のためのルールに関して主張の異なる相手と出会ったらどうするか?大きく三つの方法が考えられます。a.自分の主張を、たとえ力を用いてでも貫徹する。b.相手に「配慮」してその言い分を受け入れる。c.合意形成をめざして相手と交渉する。この3つの方法の中で、戦後日本の社会科教育が最も推奨してきた方法は (2)、次に (3) と言えるでしょう。しかし私は、この3つのどの方法も必要だと思います。特に国家の権力や主権の役割の理解とその適切な行使について教えることを、これからの社会科教育は回避することなく取り組んでいくべきだと考えています。

教員写真