教員情報(高見 泰興)

氏名・職名 高見 泰興(たかみ やすおき,Yasuoki Takami)教授
メールアドレス takami [at] people [dot] kobe-u [dot] ac [dot] jp
学位 博士(理学)(東京都立大学)
研究分野 進化生態学
[学部] 担当 国際人間科学部 » 環境共生学科 » 環境自然科学プログラム
[大学院] 担当 人間発達環境学研究科 » 人間環境学専攻 » 環境基礎科学系, 自然環境論
研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト http://www2.kobe-u.ac.jp/~takami/
研究紹介

多様な生物はどのように生まれ、生き延び、そして絶えるのか

私たちは数百万種もの生物と共に地球上で暮らしています。生物は私たちにとって日々利用する資源であり、酸素を供給し気候変動を緩衝する環境であり、進化的起源を共有する血縁です。生物は長い時間をかけて地球上のあらゆる環境に適応してきました。その生き様を知ることは、私たちが今まさに迎えつつある自然環境の大変動に順応し、生き延びるための手がかりを得ることにつながるかもしれません。このような問題意識を持ち、生物多様性の起源、維持、絶滅の進化的メカニズムについて研究しています。
繁殖は、いかに多く遺伝子を次世代に伝えるかをめぐる争いの場です。雄間の競争や雌雄間の相互作用により、動物の繁殖行動はさまざまに進化します。これまでオサムシという昆虫を材料に、交尾行動や交尾器形態の多様性と、多様性をもたらした自然淘汰のかたちを明らかにしようと研究を進めてきました。交尾行動の解析と、系統樹を使った進化解析により、日本固有のオオオサムシ類の多様な交尾器は、雄間競争における攻めと守りのバランスがさまざまに変化することで生み出されたことを明らかにしました。
繁殖行動が多様化すると、互いに交配できなくなり、種が分化します。種分化は生物多様性を生み出す根源的なプロセスです。これまで、種間交配実験を通じて、オオオサムシ類の多様な交尾器が、種分化を引き起こす鍵であることを明らかにしてきました。現在は、交尾器の種間差をもたらすゲノム領域の探索と、そこにはたらく自然淘汰の解析を進めています。
現代は、恐竜が滅びた白亜紀末に匹敵する大量絶滅の時代であり、その原因は人間による環境改変です。これまで都市に生息するチョウやアリを材料に、人間活動の影響が生物集団の存続や絶滅にどのように影響しているのかを、集団遺伝学の観点から研究してきました。今後は、都市化、繁殖行動、絶滅の三者の関係について、より発展的な研究を進めていきます。

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