教員情報(NONAKA Tetsushi)

氏名・職名 野中 哲士(のなか てつし,NONAKA Tetsushi)准教授
メールアドレス tetsushi [at] people.kobe-u.ac.jp
取得学位 博士(学際情報学)(東京大学)
研究分野 認知科学,生態心理学
[学部] 所属 人間表現学科 臨床・感性表現論コース, 人間表現論コース
研究テーマ

人のふるまいが周囲の環境にどのような価値(アフォーダンス)を探りあてているのか,わざ,リハビリ,乳児発達,人工物のデザイン等を対象に観察しています。

[大学院] 所属 [博士課程前期課程] 人間発達専攻 表現系講座
[博士課程後期課程] 人間発達専攻 表現系講座
[(旧)博士課程前期課程] 人間表現専攻 表現文化論コース
[(旧)博士課程後期課程] 人間表現専攻 表現文化論分野
研究テーマ

わざが見せる独特の秩序や,人が作るモノの配置やレイアウト等,人の活動が周囲の環境と出会う界面に生まれる独特の秩序の形成プロセスについて検討しています。

研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト 教員のウェブサイト
研究室紹介 環境とふるまいの出会いに生まれるダイナミックな秩序を見つめる

ラスコーの洞窟画を見に行ったとき,洞窟壁の起伏が動物のからだに見立てられて,自然の凹凸を利用して絵が描かれていることにびっくりしました。私たちの「まわり」は白紙ではありません。さまざまな構造をもつ「まわり」に私たちは参加し,いろいろな意味や価値を発見して,他の人と共有しています。私の研究室では,人が「まわり」にどのような価値(アフォーダンスと呼ばれます)を見つけているのかを観察しています。現メンバーの研究テーマは幼児の粘土遊びの発達,こどもが字を書けるようになるまで,ピアノ練習過程における注意と視線,エスカレーターに乗る時の外部イベントとの同期パターン,工芸のわざの伝承場面に見られる言葉と状況作り,慣れた街を移動する人の自在感が依拠するランドマーク等です。人のふるまいや人工物の構造をその「まわり」とのダイナミックな出会いから眺める広義の「表現研究」に関心がある方,ぜひ一緒に研究しましょう。

研究最前線 環境と出会う生物のふるまいの柔軟性と知能の核心に迫る

私達のふるまいをつぶさに調べると,複数のユニットが柔軟に結びつくことで,全体として目的を達成する組織を至るところに見ることができます。例えば何かを見る時,頭部の動きと,それを補償して眼球が逆向きに回転する運動は協調し,視線を環境の対象に安定して繋ぎとめることを可能にします。あるいは乳児の食事などではしばしば,食器が倒れないように配置を換えたり,偏った皿の上の食物の配置を取りやすいように整えたりする母親のふるまいが,乳児自身のふるまいとひとつの組織をなすことで,摂食の進行が安定化されます。こうした組織は身体の境界を越え,身体の外部のデザインや道具の製作,さらには建築や場の形成にまで拡張していきます。このような,環境を組み込むような柔らかいふるまいの組織は,いかにして生まれ,変化するのでしょうか。そしてそれは,どのように身体外部の環境と結びつき,どんな秩序をそこに生み出していくのでしょうか。これらが私たちの研究室で取り組んでいる問題です。例えば最近の研究では,四肢に重篤な麻痺をもつ頸髄損傷者が筆を口にくわえて行う運筆運動を3次元動作解析し,繰り返して同一の文字を書く頭部・ 首の運動は毎回変わるが,その変化は,筆圧や筆の角度,紙面を見る頭部姿勢といった環境を組み込んだ環境-身体間システムの安定性には影響を与えていないことを明らかにしました。この結果は,四肢麻痺者が獲得した書字行為が,何らかのプログラムの発現というよりは,環境との独特な関係の形成プロセスそのものであることを示唆するものであり,運動学習の理解に新たな知見をもたらしました。自然は手段を選びません。私達が何気なく行っている日常のふるまいは,しばしば予想を超えた情報や伝達媒体に依拠しています。環境と出会うふるまいの発達の学際的な研究を通して,生物「知能」の核心に触れることを私たちの研究室では目指しています。