神戸大学大学院人間発達環境学研究科 大学院生の研究活動2018

青年層におけるインターネット依存の問題をめぐって

王 一然(人間発達専攻 こころ系講座 博士課程前期課程 2017年3月修了)

私は現在,健康心理学の側面から,インターネット依存に関する研究をしています。ソーシャルメディアが普及し生活が便利になっている一方,インターネット依存は世界中で問題となっています。私は,在学中,留学生に対する在学生によるチューター制度を通して,外国の交換留学生たちのチューターになりました。この機会をきっかけに,英語を中心にして研究内容についての議論を行い,多様な学生たちが集まる学習環境の中で,自分の研究だけでなく国際社会で研究を行う際に必要となる知識やスキルについて学びました。異なった視点から研究課題に関する議論を交わすことで,自分の研究を見直し,新しい方向性に着眼することができました。今後も国を超えた研究交流を通して,グローバルな視点からインターネット依存といった問題の解決に貢献していきたいと考えています。


実感を伴う発見を目指して

岡元 ひかる(人間発達専攻 表現系講座 博士課程後期課程2年)

私は現代に登場した新しいダンス表現に注目し,「ダンスの創作・訓練における言語使用の意義」をテーマに研究を行っています。コンテンポラリーダンスすなわち同時代のダンスが主な専門領域であるため,日頃から劇場へ足を運び,ダンス訓練には身を以って参加することで,自分の実感を伴う発見を目指しています。ここには学部在籍中に実技を学び,ダンサーとして活動した経験が活きてきました。今は,イスラエル発祥の身体訓練法GAGA の調査のための海外フィールドワークの準備を行っています。また,ベルリン自由大学留学中には,最先端のダンスや欧州の理論に触れることができました。大学では,異分野の先生方や学生と隣合わせの環境で,多角的視点を持つことの重要性を日々認識しています。


インターネットが創る未来を研究する

木村 拓真(人間発達専攻 からだ系講座 博士課程前期課程2年)

現実世界とインターネットという2つの世界を持って生きている私たちが,どのような特徴を持った行動をとっているのか,社会心理学的な視点から研究しています。研究対象は不特定多数の人が他の人や組織に資金援助を行うクラウドファンディングで,運営会社と共同で研究していきます。研究するにあたって,加齢やスポーツなど多岐にわたる分野の先生方からアドバイスをいただいたり,研究室で毎年行われる韓国へのスタディツアーでソウル大の研究者と交流することで,学際的・国際的視点を持つことが出来ました。研究し解明するという,「まだ,誰もやったことがないこと」に取り組み,新しい価値を生み出す経験を,今後は教育者の立場として活かしていこうと考えています。


アーティスト・文化施設・学校間の連携における芸術教育の意義と課題

金澤 咲(人間発達専攻 学び系講座 博士課程前期課程2年)

私はアーティスト(芸術家)が美術館や文化施設を通して授業に参加する事例を研究しています。1998年以降,学習指導要領において「生きる力」が導入されたことで,文化施設やNPOなど外部機関と学校の連携による,体験活動を通した芸術教育が行われてきています。日常生活ではあまり出会うことのないアーティストが学校教育に参加することで,児童や教員,アーティストにとって相互的に有効な作用があるのではないかと考え,実際にアーティスト,児童,教師へアンケートとインタビューを実施し調査しています。私は以前,美術館で教育普及という仕事を担当していました。アーティストと子供たちが出会うと,作品の核心をつくような発言があったり,短い期間で子供の変化が見えたり興味深い作用があると感じていました。この作用を整理し言語化したいと思い大学院に入る決意し,現在,働きながら大学院に通っております。大変な毎日ですが,研究室のみんなに支えてもらいながら自分のペースで頑張ることができています。


様々な分野の技術とアイデアを取り込み植物の共存機構に迫る

勝原 光希(人間環境学専攻(自然環境)博士課程後期課程2年)

なぜ世界には多種多様な生物が存在しているのか。この生物学の大問題の解明にむけ,私は道端の雑草であるツユクサの仲間を用いて植物の共存機構の研究を行っています。自身は野外での調査を専門としてきましたが,自分の知りたいことのためには異なる分野の技術やアイデアが必要になる場面に数多く出会いました。例えば,DNA情報を扱う技術や,理論モデルから数式的に生物のふるまいを解析する技法などは,その度に研究科内の他分野の教員や学生から技術や知見,実験装置を提供していただき,研究を進めてきました。“人間を取り巻く環境”という大テーマの下,多様な価値観や技術を持つ人間が集まった研究科で培われた学際的な視点や研究スタイルは,研究者を目指す自分の大きな強みになっていると感じています。


援助レジームにおける新興ドナーをめぐって

李 聡(人間環境学専攻(社会環境)博士課程前期課程 2017 年3月修了)

私は,中国などの新興ドナーによる途上国への援助のあり方について研究しています。国際援助の場面では,多様なアクターによる支援が乱立しており,貧困などの問題が未だに解決されていないばかりか,様々な混乱が発生しています。そこで私は,際開発学国際関係論をベースに,アクターの間の相補性を実現し,より開発効果を高めうる援助行政のあり方を実現するにはどうしたらよいか研究をしています。大学生活では,学業の他に「世界経済フォーラム」で会議運営のコーディネートを担当するなどの経験も積み,国際機関の職員の方々がどのように働いているかを知る経験もできました。国際開発学を学ぶ者として,大学院の研究で培った政策分析の知見をもとに,国際機関への就職など,自分の様々な可能性を活かせる進路を考えていきたいと思います。


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案内パンフレット 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科2019』 より