神戸大学大学院人間発達環境学研究科 大学院生の研究活動2017

理論と実践が伴った研究者・臨床家を目指して

西尾 祐美子(人間発達専攻 博士課程 後期課程 2017年3月修了)

私は博士課程で一貫して「自閉症スペクトラムの女子に対する支援」というテーマを追求してきました。先行研究が少ない中,同性でないと難しい女子特有の支援ニーズにアプローチしています。子どもを対象とした臨床研究で結果が客観的なデータに結びつきにくいですが,実証的研究を目指して日々精進しています。所属研究室では海外へのスタディツアーがあり,イギリスの学校や支援機関を視察し,現地の研究者と交流する機会も持てました。また,約1年間アメリカ・ニューヨーク市立大学に留学し,帰国後もグローバルな視点で国際比較を行う共同研究に携わっています。私は臨床心理士でもあるため,将来は研究者として新たに知見を広げるだけでなく,成果を臨床現場へ還元できるように研究と実践の双方を積み重ねたいです。


地下水に含まれるヒ素に関する地球化学的研究

Nasher N. M. Refat(人間環境学専攻 博士課程 後期課程 2年在学)

バングラデッシュのヒ素による汚染地域において地表付近の地下水を採取し,主・微量成分分析を行ってヒ素が混入するメカニズムを理解するための研究をしています。私が所属する人間発達環境学研究科は,海と山の両方が見えるすばらしい場所にあります。研究科は留学生をとても歓迎しており,学習環境は非常に整っていて,学業に打ち込み,多くのことを学ぶことができます。また様々な機会を通して,学生同士が互いにスキルを伸ばし,異なる文化を学ぶことができます。ここでの経験を通じて学業のみならず,人間としても成長できると思います。私の研究成果によって,ヒ素に汚染された地域において,安全な地下水源を見つけることを可能にしたいと考えています。


自由な環境で興味のあることをとことん学び研究できる

中村 瑞穂(人間発達専攻 博士課程 前期課程 2年在学)

私は小学校国語教科書に掲載されている文学的文章教材の挿絵に着目して研究を行っています。読解は文章中心に行われており,挿絵はあくまで補助的なものであるという考えから,挿絵に関する研究は十分には行われていません。しかし文章中心に読解は行いつつも,挿絵を有効に活用すれば児童の文章に対する理解はより深まるのではないかと考えています。卒業後は小学校の教師になる予定です。教師になってからも教材研究は欠かせません。1つ1つの教材を深く研究できる今のこの環境はとてもありがたいです。教師になるなら学部卒までで良いと思っている方も,ぜひ大学院進学も選択肢の1つに入れてみませんか。


ヒトの発汗研究を通じて養われた学際的・国際的視点

葺石 育美(人間発達専攻 博士課程 前期課程 2017年3月修了)

私の研究室ではヒトの汗の仕組みを多角的な視点から研究しており,その中で私は精神的なストレスとの関係をテーマとしています。研究活動では汗に関わる生理学的知識を学ぶだけではなく,授業や研究発表を通じて多岐にわたる分野の先生方から常に新たな切り口でアドバイスをいただくことができ,複雑なヒトの体の仕組みをより深く理解することができました。また,研究室では毎年様々な国籍や研究分野の方が招かれ,研究交流をしています。このように,学際的・国際的な視点を持って研究に携わることで,多様な考え方や広い視野を持つことの大切さを学びました。今後は企業の技術系総合職として,研究活動で得た知識や論理的な思考力,国際交流を通して養われた国際感覚を活かし,課題に取り組んでいきたいと思います。


ストリートミュージシャンの調査研究

増田 潤(人間環境学専攻 博士課程 前期課程 2017年3月修了)

私は,大阪や神戸の駅前などで演奏しているストリートミュージシャンについての研究をしています。彼らがストリートライブで表現する音楽性はもちろんのこと,音楽面以外の生活実態・社会意識もトータルにとらえ,ミクロな要素である彼ら自身の主体性・人間発達とマクロな要素である現代社会との関係を解明しようとしています。私が所属しているゼミで調査手法や現代社会のシステム・論理を学んだ後に,フィールドワークとして街でストリートミュージシャンに日々インタビュー調査を行っています。実際に調査を進めていると,本や論文を読むだけではわからないような現実を知ることができる点が非常に興味深いです。


ドイツで文理融合の学問に触れて

田中 維(人間発達専攻 博士課程 前期課程 2年)

私の研究は,博物館や動物園など学校外の科学教育施設で使用する,ICT教育教材を開発,評価することです。自分の研究内容を発展させるために,ドイツのドレスデン工科大学の心理学コース「Human Performance in Socio-Technical Systems」へ半年間留学しました。本コースは,特に科学技術に関わる心理作用を取り扱います。留学中は,本研究科では開講されてない「User Interface」など情報工学の授業を受講することができたり,「Master Thesis Seminar」の授業で,自分の研究内容を発表し,心理学,教育学,情報工学の教授から研究へのアドバイスを受けたりすることができました。また,オータナティブ教育施設など,ドイツ特有の教育現場も実際に見学することができました。本留学を通じて,教育学から心理学,日本からドイツと幅広い新たな視点を得ることができました。


定時制高校から社会の問題を考える

岩﨑 陽(人間発達専攻 博士課程 前期課程 2年)

スタディツアーとして七泊八日で韓国に行かせていただきました。現地のナザレ大学を拠点として,大学に通う障害者に対する日韓の支援の違いを考え,現地の学生と交流しました。スタディツアーに参加したのは自分の研究に対する視野を広げるためです。実際に障害という切り口から社会がどのような問題を抱えているかについて考えさせられました。私自身は,社会の問題を定時制高校というフィールドから考えていくような研究をしたいと思っています。「障害」と「定時制高校」は,違いこそありますが,社会から排除・抑圧されているという点で共通しています。その共通点や日韓の差という視点に触れたこと,またツアーを通して出会った方たちとの交流によって,自分の研究を深めていいきたいと考えています。

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案内パンフレット 『神戸大学大学院人間発達環境学研究科2018』 より