参加院生の研究活動中間報告


日本理科教育学会における発表の様子

小学校理科教育におけるアーギュメント構成能力の育成
-複数の理由付けや反駁を含むアーギュメントに焦点化して-

神山真一 人間発達専攻 M1

本研究の目的は,理科学習において複数の理由付けや反駁を含むアーギュメント構成能力を育成するために実施された授業の有効性を明らかにすることである。現在,複数の理由付けを利用するアーギュメント構成能力を育成することを目指してデザインした授業の分析を行い,その成果を日本理科教育学会第64回全国大会(愛媛大学)と科学教育学会第38回年回(埼玉大学)において発表した。写真は,日本理科教育学会における発表の様子である。発表では,複数の理由付けを利用するアーギュメント構成能力の育成を目指した授業デザインを提案した。また,単元内容に関するアーギュメント課題における満点の児童の割合の高さや単元前後に実施した既習内容に関するアーギュメント課題における理由付けの「複数性」に関する得点の向上を示し,本授業が複数の理由付けを利用するアーギュメント構成能力の育成に有効であることを明らかにした。今後は,反駁を含むアーギュメント構成能力を育成する授業デザインを提案することや児童が記述したアーギュメントの分析結果から授業の有効性を明らかにすることが課題である。



(写真1) PACA国際学校

(写真2) 理科の授業(研究対象)の様子

複式学級における反転授業の有効性の検証
-PACA国際学校を事例として-

大黒仁裕 人間発達専攻 M1

私は現在,フランスのマノスクという町にあるPACA国際学校(Ecole Internationale Provence-Alpes-Cote d'Azur)にてインターンシップ(期間は1年間)を行いながら授業研究を行っている。PACA国際学校とは,幼稚園から高等学校までの子どもが在籍する国際学校である。複数国の教育セクションを有し,子どもが2言語以上の環境下におかれているという特徴を持つ。
本研究の目的は,複式学級であるPACA国際学校の日本語セクションを事例として,反転授業コンテンツを利用した理科教育プログラムを開発し,知識の定着および活用を促進する上での有効性について検証することである。現在,PACA国際学校の第4学年,第5学年の各2名からなる複式学級において,反転授業コンテンツを利用した教育プログラムを実施している。具体的には,学習者に自宅で反転授業コンテンツ(筆者作成)を予習として学習させ,学校において理科の授業を行う。授業では導入として予習内容の確認を行った後,知識を応用した予想や実験を行う。今後は,児童と保護者に質問紙調査,面接調査を行っていく予定である。



10/19公演【HOCUS POCUS】練習風景

身体知と表現に関する考察 ‐「ドラマ教育」に着目して‐

神谷彩 人間発達専攻 M1

より豊かな「感受・表現力」の育成のため,「ドラマ教育」に焦点を当て,五感に鋭敏になるための方法論について調査・考察中である。前期は主に文献調査を行い,大阪教育大学附属池田中学校「ドラマ科」授業実践研究,スタニスラフスキー提唱の俳優教育法,アレキサンダー・テクニーク,フランクリン・メソッド等の具体的な実践法等について調査を行った。
また,10/19開催,自身が所属する舞踊ゼミ公演【HOCUS POCUS (ホーカス・ポーカス)】(※大学生によるパフォーマンスを主軸に,幼・小・中学生を対象とする「バレエ」「ミュージカル」のワークショップを実施し,成果発表も行う。筆者はミュージカル講師を担当)において,参加者への聞き取り・アンケート調査を実施。その成果を第45回日本音楽教育学会院生フォーラムにてポスター発表予定。
これらの成果を踏まえ,来年度,本学附属中学校でのアクションリサーチとして,音楽の授業で表現活動(主に歌唱)を指導する際,生徒が自身の身体の状態に対してどの程度意識しているのかについてアンケート調査を実施する。


前期を振り返って~ゲームの実践に向けて~

馬場大樹 人間発達専攻 M1

本研究では,社会的対立事象に対処する能力を子どもに育成するために,競争的かつ協調的なコミュニケーションである「交渉」をゲームの形式で経験させることが有効であると考え,外交交渉ゲーム「Independence Day」を,高校での実践に向けて改良した。その上で,兵庫県立加古川東高校の世界史Aの授業において,ゲームを実践し,その効果についての調査を行った。今後,高校での実践の結果についての報告を11月の学会発表で行うとともに,小学校での実践や,神戸大学附属住吉中等学校での実践を予定している。


学会発表と授業実践に向けて

船曳優斗 人間発達専攻 M1

私は小学校国語科におけるメディア・エデュケーションの授業実践に関する研究を行っております。これまでは国語科の学習において「動画」を活用したことばの学びを構築するための理論的検討及び,それに基づく「動画」を読むことを学習の中心としたメディア・エデュケーションの授業の設計,検討を行ってまいりました。これまでの研究の成果は11月16日の関西教育学会における自由研究発表において発表させていただくことになっております。また,年内に神戸大学付属明石小学校におけるアクション・リサーチを予定しており,打ち合わせを進めております。アクション・リサーチにおきましては,私自身が構想した単元学習展開案に基づいて,実際に子どもたちを相手に授業実践を行わせていただく予定です。今後はアクション・リサーチの結果をもとに研究の深化,発展を目指していきたいと考えております。


附属明石小でのアクションリサーチ

佐川てるは 人間発達専攻 M1

9月より附小にて,児童の夏休みの日記を題材とした単元の学習のアクションリサーチを行っている。児童が夏休みに書いてきた日記を班の中で交換し読みあい,感想や質問などを付箋に書いて交流する。そして読んだ内容を児童がマインドマップにまとめて発表したり,友達の日記をクラスの児童に紹介したりしている。私はその授業を参観し,分析を行っている。この取り組みによってクラス全体の友達の生活を知り,それを共有することで自己満足感を得られると考えている。それを高めることが学級の児童がお互いを分かり合う満足度を上げていくと期待をしている。単元の学習が10月中旬で終わるので,その活動を通して,この学級が年間を通して身に着けた力がインタビューやアンケート調査を行う予定である。また,引き続き「書くこと」の授業への見学はする予定である。


幼児の概念的サビタイジングに関する研究

中橋葵 人間発達専攻 M2

幼児期における数概念の発達や数学教育について考えることの重要性は,幼児期の豊かな生活体験のみならず小学校算数への接続の観点からも指摘されている。本研究では特に幼児の概念的サビタイジングに着目する。概念的サビタイジングとは,数の集合を全体や集合を構成する部分として瞬時に認識する過程である。概念的サビタイジング能力は数の合成・分解につながる能力であることから,小学校算数への接続の観点からも重要であるとされている。これまでに3~5歳児を対象にサビタイジング調査を実施し,概念的サビタイジングの発達の実態と様相を検証した。その成果は日本数学教育学会第47回秋季研究大会において報告している。
概念的サビタイジング能力の獲得や発達にはなんらかの支援が必要であることが示唆されている。したがって今後は,支援を検討するために必要とされる概念的サビタイジングの発達モデルの構築を行うことが課題である。


児童の全力疾走における走動作の特性

辰巳純平 人間発達専攻 M2

平成25年度体力・運動能力調査によると児童の走能力は,近年向上傾向にある。その一方で,昭和60年頃と比較すると未だ低い状況にあることから,児童の走能力にはまだまだ改善の余地があると考えられる。そこで,本研究では児童の走動作を対象として,その特性を明らかにし,その上で児童の走運動技能を簡易的に評価することのできる簡易評価項目を作成することを目的としている。
その結果,児童の走動作の特性および習熟において重要となる動作を明らかにし,さらに走動作を評価することによって児童の走能力を十分に評価できることを示唆している。これらの成果は,日本発育発達学会第12回大会ならびにEuropean College of Sport Science(ECSS)第19回大会において報告しており,特に日本発育発達学会においては優秀研究賞という高い評価をいただいた。
今後の課題としては,性別による動作習得の差異を検証することが必要であると考えている。