神戸大学大学院人間発達環境学研究科 大学院生の発表論文・受賞

2014年4月1日以降の査読付き論文と受賞を掲載しています。

  • 著者:持田和明(人間発達専攻博士後期課程),高見和至,島本好平(兵庫教育大学学校教育学部)
    論文題目:スポーツ組織市民行動尺度の作成
    雑誌名・巻号・ページ・年月:コーチング学研究, 30(1), pp15-27, 2016, 10.
    論文の概要:産業組織心理学分野において,組織の生産性を高める要因として研究されている「組織市民行動」を競技スポーツ集団に応用することを目的に,競技スポーツチームにおける組織市民行動を測定するための心理尺度を開発した。競技スポーツ版組織市民行動は「犠牲行動」,「効果的コミュニケーション」,「対人支援」,「誠実さ」,「清掃行動」の5因子から構成され,信頼性,妥当性も認められた。本研究により,競技スポーツ集団おける組織市民行動の定量的検討が可能になった。
  • 受賞者氏名:榎景子(人間発達専攻 博士課程後期課程)
    受賞名:日本教育行政学会研究奨励賞(詳細については,「日本教育行政学会褒賞規程」をご覧ください)
    受賞論文:米国における学校再編への都市再開発政策の影響と課題 ―シカゴを事例とした教育政策の空間的分析の試み―,『日本教育行政学会年報』 第41号,pp.109-125.
    受賞年月日:2016年10月9日
    受賞理由:
    近年米国では,学区教育委員会事務局による学校再編や学力改善に向けた学校支援等の地域教育経営の努力が,グローバル経済下での国際競争に「打ち勝つ」ための都市経営の力学によって翻弄される様相が見られる。だが,従来の教育制度内の変更に視野を限定する枠組ではその動態を捉えきれない。上掲論文は,空間的視座から政策分析を行うことで,教育を含む領域横断的な都市経営力学と,生活空間の変容による子どもの発達への影響を解明したものである。『日本教育行政学会年報』の「研究報告」に掲載された上掲論文が,「特にすぐれた教育行政研究」と認められたため,同賞が与えられた。
  • 受賞者氏名:青島一平(人間環境学専攻 修士課程)
    受賞名:環境科学会 最優秀発表賞
    受賞年月日:2016年9月8日
    受賞理由:
    緑地は都市域における重要な生態系サービス源であり,緑地は都市住民の生活満足にも貢献している。しかしながら,都市部における人口増加に伴って,緑地が提供する生態系サービスが十分に考慮されずに都市開発が進められている。
    都市部の緑地が軽視されてしまう理由として,生態系サービスが可視化されていないことが挙げられる。都市緑地が果たす役割は生態系サービスの中でも文化的サービスの占める割合が大きく,その価値は一般的な市場では取引できない性質のものである。本研究では こうした非市場価値を貨幣評価するためにLife Satisfaction Approach(LSA)を適用する。この手法を用いることで,人々の主観的な生活満足度が都市緑地から受けている影響を貨幣単位で評価し,それを都市緑地の価値とすることができる。兵庫県の六甲山系を含む阪神間地域を事例にした調査により,本研究結果は,都市住民の生活満足度を基に計測をした時に,都市緑地は山林の6倍程度の価値を有することを示した。
    さらにLSAによる分析に加え,都市緑地が人々の精神的健全性に与える影響についても分析する。精神的健全性の測定は,心理学分野で使われる手法を用いて,アンケートにいくつかの質問項目を設けることで客観的に測定される。本研究では,測定された精神的健全性が,自宅周辺の都市緑地の量から影響を受けているか分析したところ,都市緑被率の高いところに居住する人ほど,精神的により健全な傾向にあることが明らかになった。
    また本研究では,精密な分析を行うために,GIS(地理情報システム)を利用して調査対象地域である阪神間地域の地理データを構築し,都市緑地については学校林,社寺林,公園緑地を回帰式で特定した上で分析する。都市緑地に関する従来の多くの研究で,都市緑地はその属性にかかわらずすべて同じものとして扱われてきたが,本研究では都市緑地の属性によって人間福利への貢献の仕方が異なることを示している。
  • 受賞者氏名:山口悦司,中新沙紀子(人間発達専攻 博士課程前期課程),山本智一(人間発達専攻 博士課程後期課程),稲垣成哲
    受賞名:日本科学教育学会論文賞(詳細については,「日本科学教育学会学会賞表彰規程」をご覧ください)
    受賞論文:教員志望の大学生を対象としたアーギュメント・スキル教育プログラムのデザイン研究,『科学教育研究』第37巻,第2号,pp.149-157.
    受賞年月日:2016年8月20日
    論文の概要:
    There are many potential benefits in student engagement in and practice of argument. To foster the argument skills of students, teachers themselves need to have high-level argument skills, since they will otherwise find it very difficult to teach such skills to students. This study focused on the low level of teachers' argument skills. This paper presents the results of a two-year study to provide pre-service teachers with the program to gain high-level argument skills addressing socio-scientific issues. The program revision implemented for the second year of the study allowed the teacher educator to share the argument assessment criteria with the pre-service teachers. The arguments produced by pre-service teachers in the first and second year show that pre-service teachers taking the second-year program produced higher-quality arguments in terms of explaining the reasons why evidence challenges a claim, using evidence to counter evidence against their position, and making sense of tradeoffs between conflicting evidence.
  • 著者:藤原綾香(人間発達専攻 博士課程前期課程),松橋彩衣子,土居秀幸,山本哲史,源利文
    論文題目:Use of environmental DNA to survey the distribution of an invasive submerged plant in ponds
    雑誌名・巻号・ページ・年月:Freshwater Science, 35 (2), pp.748-754, 2016.6
    論文の概要:環境中のDNA断片(環境DNA)を利用して,野外の水生植物の分布を調べることに世界で初めて成功した論文である。外来の沈水植物であるオオカナダモを対象として,環境DNAの検出法を開発し,野外のため池の採水サンプルからのDNA検出を試みた結果,目視で確認された生息の有無と,DNA検出の有無が完全に一致し,水生植物にも環境DNA分析が適用可能であることが示された。
  • 受賞者氏名:日髙舜介(人間環境学専攻 博士課程前期課程),勝原光希(人間環境学専攻 博士課程前期課程),冨田勢(人間環境学科),丑丸敦史,源利文
    受賞名:ポスター賞最優秀賞(保全分野),第63回日本生態学会大会,2016.3.20-24
    受賞理由:「環境DNA分析手法を用いたオオサンショウウオ(Andrias japonicus)の広域調査」に関する研究と発表が非常に優秀であると評価されたため。
  • 著者:高松祥平(人間発達専攻 博士課程後期課程),山口泰雄,稲葉慎太郎(人間行動専攻 博士課程後期課程)
    論文題目:自転車ロードレースにおける観戦動機が再観戦意図に及ぼす影響:ツール・ド・おきなわに着目して
    雑誌名・巻号・ページ・年月:イベント学研究,1(1), pp.37-45, 2016.3
    論文の概要:本論文は,ツール・ド・おきなわにおける沿道観戦者の観戦動機を明らかにし,再観戦意図に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。観戦動機として「レースの魅力」,「自転車への愛着」,「交流」が抽出され,「レースの魅力」は再観戦意図に直接影響を及ぼし,「交流」は地域愛着を媒介して再観戦意図に影響を及ぼすことが明らかになった。
  • 受賞者氏名:青山将己(人間発達専攻 博士課程前期課程)
    受賞名:2016 Best Student Paper Award,The 5th Asian Forum for the Next Generation of the Social Sciences of Sport
    受賞年月日:2016年2月18日
    受賞理由:「A Study of Factors Influencing Activity Satisfaction of Sport Leaders for the Disabled」と題する研究内容と発表が優秀であると評価されたため。
  • 受賞者氏名:松本和也(人間発達専攻 博士課程前期課程)
    受賞名:日本スポーツ産業学会 リサーチカンファレンス2016卒論の部優秀賞 
    受賞年月日:2016年2月11日
    受賞理由:「大学生のスポーツ・ボランティア活動を通した意識の変容に関する研究」と題する研究内容と発表が優秀であると評価されたため。
  • 著者:高松祥平(人間発達専攻 博士課程後期課程),山口泰雄
    論文題目:高校野球における監督のコンピテンシーに関する研究
    雑誌名・巻号・ページ・年月:体育学研究,60(2), pp.793-806, 2015.12
    論文の概要:本論文は,高校野球における監督のコンピテンシー構造を明らかにすることを目的としている。インタビュー調査,及び質問紙調査の結果,「信頼関係」,「観察力」,「生活指導」,「自律性支援」,「後援関係」,「技術・戦術指導」の6因子24項目が抽出され,混合研究法(mixed method research)の手法に基づいて,量的・質的双方の観点から考察を行った。
  • 著者:稲葉慎太郎(人間行動専攻 博士課程後期課程),山口泰雄,伊藤克広
    論文題目:総合型地域スポーツクラブのクラブマネジャーが形成するソーシャル・キャピタルの特徴に関する研究:テキストマイニングを用いたNPO法人格の有無の比較より
    雑誌名・巻号・ページ・年月:生涯スポーツ学研究,12(1), pp.25-38, 2015.10
    論文の概要:本論文は,総合型地域スポーツクラブのクラブマネジャーが形成するソーシャル・キャピタルの特徴をNPO法人格の有無の比較で明らかにすることである。関西地区18クラブのクラブマネジャーにインタビュー調査を行い,テキストマイニングを用いて分析を行った。その結果,NPO法人格クラブではクラブ外部との協働関係と,任意団体クラブでは閉鎖性を伴うソーシャル・キャピタルの形成がみられた。
  • 著者:高松祥平(人間発達専攻 博士課程後期課程),山口泰雄
    論文題目:総合型地域スポーツクラブにおけるスポーツ指導者のコンピテンシー尺度作成の試み
    雑誌名・巻号・ページ・年月:生涯スポーツ学研究,12(1), pp.13-23, 2015.10
    論文の概要:本論文は,総合型地域スポーツクラブにおけるスポーツ指導者のコンピテンシー尺度を作成することを目的としている。結果,「マナー教育」,「協働的アプローチ」,「マネジメント」,「指導力」,「クラブ外交流」,「クラブ内交流」,「安全管理」の7因子35項目が抽出され,測定尺度の妥当性・信頼性が確認された。
  • 受賞者氏名:小原久未子(人間発達専攻 博士課程後期課程)
    受賞名:Best Student Poster Award, The 12th International Congress of Physiological Anthropology 2015.10.27-30
    受賞年月日:2015年10月30日
    受賞理由:「Anti-stress Effects of Short-term Fasting in Japanese Female Students」と題する研究内容と発表が優秀であると評価されたため。
  • 著者:小原久未子(人間発達専攻 博士課程後期課程),沖田善光,甲田勝康,間瀬知紀,宮脇千惠美,中村晴信
    論文題目:Cardiovascular response to short-term fasting in menstrual phases in young women: an observational study
    雑誌名・巻号・ページ・年月:BMC Women's Health, 15, 67, 2015.8
    論文の概要:女性には月経周期があり,それにともなう月経随伴症状は,女性に少なからずストレスとなっている。本研究は,若年女性を対象に,黄体期,卵胞期の各々において,通常の食事摂取と食事制限によるストレス軽減効果を比較検討したものである。結果として,食事制限によるストレス軽減効果が確認され,このことは,薬物等ではなく,日常生活の改善において女性のストレスが軽減できる可能性を示した。
  • 著者:持田和明(人間発達専攻博士後期課程),高見和至,島本好平(兵庫教育大学学校教育学部)
    論文題目:チームスポーツ競技における集団凝集性および集団効力感に影響する個人要因の検討~構成員のライフスキルが集団に及ぼす影響~
    雑誌名・巻号・ページ・年月:スポーツ産業学研究, 25(1), PP.25-37,2015, 5.
    論文の概要:集団パフォーマンスを予測する集団効果性の指標となる集団凝集性,集団効力感に影響する個人要因の探求を目的として,大学競技スポーツチームに所属する運動選手を対象に,各個人のライフスキルと,所属チームに対する集団凝集性,集団効力感との関連性を検討した。その結果,ライフスキルの「コミュニケーション」が集団凝集性,集団効力感の認知度に正の影響を与え,「責任ある行動」が集団効力感に正の影響を与えており,特に成員個々のコミュニケーション能力が,集団としての凝集性や効力感の基礎となることを提示した。
  • 著者:坂口卓司(人間環境学専攻 博士課程前期課程),田畑智博
    論文題目:100% electric power potential of PV, wind power, and biomass energy in Awaji Island Japan
    雑誌名・巻号・ページ・年月:Renewable & Sustainable Energy Reviews, 51, pp.1156-1165, 2015
    論文の概要:本研究では淡路島を事例として,1) 本地域に賦存するバイオマス,風力,太陽光の導入ポテンシャルの推計,2) 島内のエネルギー消費量の推計,3) 2050 年のエネルギー自給率,CO2排出量の試算を行った。導入ポテンシャルからみた再生可能エネルギーによる年間の電力供給量は,合計4,081TJであった。内訳は,バイオマスが1%,風力が51%,太陽光が48%である。シナリオ別でみた2050年の電力自給率は,再生可能エネルギーによる年間の電力供給量が変化しないと仮定した場合,再生可能エネルギーによる自給率は86%~166%となった。また,再生可能エネルギー導入により,2050年のCO2排出量は,最大で2010年比約74%削減できることがわかった。
  • 受賞者氏名:吉見紫彩(人間表現専攻 博士課程前期課程)
    受賞名:優秀発表賞,第9回日本感性工学会春季大会,2014.3.22-23
    受賞年月日:2015年3月28日
    受賞理由:「日本語拍の音象徴における身体感覚の関係性 ―メカニズムとその特性―」と題する研究内容と発表が優秀であると評価されたため。
  • 受賞者氏名:高橋颯吾(人間環境学専攻 博士課程前期課程),高見泰興
    受賞名:ポスター賞優秀賞,第62回日本生態学会大会,2015.3.18-22
    受賞理由:「交尾器形態の多様化をもたらす性淘汰の検出」に関する研究と発表が優秀であると評価されたため。
  • 著者:山橋知香(人間発達専攻 博士課程前期課程),山口悦司,稲垣成哲,黒田秀子
    論文題目:Characteristics of science picture books liked by Japanese children in early childhood
    雑誌名・巻号・ページ・年月:Journal of Emergent Science, 7, pp.40-42, 2014. 6
    論文の概要:本研究では,科学絵本『かがくのとも』を事例として,小学1年生の児童を対象とした読み聞かせ実践および科学絵本に関する調査・分析を実施することで,日本における幼年期の子どもが嗜好する科学絵本の特徴を明らかにした。
  • 著者:鈴木一正(人間発達専攻 博士課程前期課程),山口悦司,Hayat Hokayem
    論文題目:Learning progression for japanese elementary students’
    reasoning about ecosystems
    雑誌名・巻号・ページ・年月:Procedia - Social and Behavioral Sciences, 167, pp.79-84, 2015.1
    論文の概要:ラーニング・プログレッションを鍵概念とする研究は,学習者の素朴な概念・思考が科学的な概念・思考へと発達する比較的長期にわたるプロセスを解明しようと試みている。本研究では,このラーニング・プログレッションズ研究の立場から,小学生における生態系システムの理解の発達について日本とアメリカの国際比較のための予備的分析を行った。
  • 著者:山橋香(人間発達専攻 博士課程前期課程),山口悦司,稲垣成哲,奥山英登,田嶋純子,田中千春,坂東元
    論文題目:Supporting zoo visitors’ scientific observations though the picture-story show
    雑誌名・巻号・ページ・年月:Procedia - Social and Behavioral Sciences, 167, pp.85-90, 2015.1
    論文の概要:動物園は,学校外における科学教育の環境になると期待されている。しかしながら,多くの来園者は,動物の形態や特徴を十分に観察していない.この現状を改善するために,本研究では,旭川市旭山動物園のペンギン展示を事例として,紙芝居というコミュニケーション・メディアが動物園来園者の科学的観察を支援する手段になりうるかを検討した。
  • 著者:村津啓太(人間発達専攻 博士課程後期課程),稲垣成哲 他
    論文題目:モバイル端末を用いた植物観察支援システム「ポケット植物図鑑」の開発と評価
    雑誌名・巻号・ページ・年月:科学教育研究, 38(4), pp.228-237, 2014.12
    論文の概要:本研究の目的は,スケッチ表現を採用したモバイルシステム「ポケット植物図鑑」を開発し,その有効性を評価することであった。ポケット植物図鑑には,(1)植物の特徴的な部分のスケッチカラー表示,(2)葉や実のスケッチ拡大表示,(3)葉のスケッチ裏側表,という3つの表示が含まれていた。小学校第6学年の児童を対象とした評価の結果,ポケット植物図鑑は,インタフェースに改良の余地はあるものの,児童にとって概ね操作しやすいものであり,植物の観察や理解を促進する上で有効であることが明らかになった。
  • 著者:西尾祐美子(人間発達専攻 博士後期課程),鳥居深雪
    論文題目:自閉症スペクトラム障害の思春期女子の特徴と支援ニーズの検討 ―性差の視点から―
    雑誌名・巻号・ページ・年月:LD研究, 23(3), pp. 347-359, 2014.8
    論文の概要:本研究では,思春期の自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴及び性差を明らかにすることを目的として質問紙調査を行った。協力者は10~15歳の定型発達(TD)男女330名とASD男女27名であった。調査内容は,①親への愛着,②AQ-C:ASD特性(社会性・コミュニケーション・想像力),③悩み経験と悩みの相談相手(学習・健康・友人関係等),及び学習・健康・友人関係等の重要度である。その結果,AQ-CではTD女子がASD女子より想像力が有意に高く,交互作用が見られた。親への愛着得点はASDが有意に高かった。悩みの相談相手ではTDもASDも母を多く挙げたが,続いてTDは友人,ASDは教師を多く挙げた。また,TD女子は友人関係を特に重要と回答したのに対し,ASD女子はそれほど重要とは回答しなかった。以上より,TDとASDでは親との心理的分離や関係性の変化の質が異なることが示唆され,特に女子は友人関係を非常に重要視するという性差ら,ASD女子の困難さはより大きいと考えられる。今後さらに研究を重ね,ASD特性だけでなく性差も意識した思春期のASD女子に対する支援につなげていきたいと思う。
  • 著者:中橋葵(人間発達専攻 博士課程前期課程)
    論文題目:幼児の概念的サビタイジングに関する研究ーモデル化に向けた発達の実態と様相の検証ー
    雑誌名・巻号・ページ・年月:日本数学教育学会誌「数学教育学論究」, 96, PP. 113-120, 2014.11
    論文の概要:幼児期の数概念や数学教育について考えることの重要性は,幼児期の豊かな生活体験のみならず,小学校算数への接続の観点からも指摘されている。本稿では幼児の概念的サビタイジングに着目する。サビタイジングとは“いくつあるかが見てすぐにわかる”知覚過程であるが,概念的サビタイジングは単なる知覚過程ではなく,数の集合を全体や集合を構成する部分として瞬時に認識する過程である。概念的サビタイジング能力は数の合成・分解につながる能力であることから,就学後の算数の学習への接続の観点からも重要であるとされている。本稿では3~5歳児を対象に,画面上にある点の個数を瞬時に判断し解答させるサビタイジング調査を実施し,概念的サビタイジング能力を有する4,5歳児の存在が明らかとなった。同時に概念的サビタイジング能力の獲得や発達にはなんらかの支援が必要であることも示唆された。今後は概念的サビタイジングの獲得や発達を促す支援の検討にあたり,概念的サビタイジングの構造のモデル化について検討する必要がある。
  • 著者:内田圭(人間環境学専攻 博士後期課程),丑丸敦史
    論文題目:Biodiversity declines due to abandoned and intensification of agricultural lands: patterns and mechanisms
    雑誌名・巻号・ページ・年月:Ecological Monographs, 84(4), pp. 637-658, 2014.11
    論文の概要:世界中で農地の管理放棄や集約化によって植物・植食性昆虫の多様性が減少している。私たちはこの多様性減少を説明する四つの仮説(中規模撹乱仮説,景観改変仮説,生産量低下仮説,植物減少仮説)の検証を中山間の棚田の里草地(畦畔上の草地)を対象におこなった。管理放棄や圃場整備(集約化)による植物の減少は,中規模撹乱仮説および景観改変仮説で説明された。一方,植食性昆虫の多様性減少は中規模撹乱仮説および植物減少仮説によってうまく説明された。また,放棄や圃場整備によって減少する昆虫種は,その生態的特性に関わらず,有占度の低い種であり,種のランダムな局所絶滅によって多様性減少が引き起こされていることが示唆された。この研究では,農地の管理放棄による多様性減少と集約による多様性減少というこれまで個別に研究されてきた問題を,同時に説明することに成功した。アメリカ生態学会のBulletin of Ecological Society ofAmerica 95;439-443。Nov。 2014. で調査地や調査対象の動植物の写真とともに論文が紹介されました。
  • 著者:肥後梨恵子(人間環境学専攻・後期課程),藤田主一
    論文題目:一般在宅高齢者における筋力トレーニング認識と理解の検討
    雑誌名・巻号・ページ・年月:応用心理学研究, 39(3), pp. 206-214, 2014
    論文の概要:一般在宅高齢者の筋力トレーニングに関する認識とその理解度との関連を
    明らかとすることを目的とした。高齢者が有酸素運動,及び全身運動を筋力トレーニングの種目として認識しており,筋力トレーニング種目の理解度が低いことが示唆された。
  • 著者:村津啓太(人間発達専攻 博士課程後期課程)
    受賞名:日本理科教育学会理科教育研究奨励賞
    受賞理由:『理科教育学研究』第54巻・第1号に掲載された原著論文「反論を含むアーギュメンテーションを促進するための教授方略: 静電気を題材とした小学校第6学年の理科授業を通して」が優れたものとして評価された。
    受賞年月日:2014年8月23日
  • 著者:村津啓太(人間発達専攻 博士課程後期課程)
    論文題目:口頭のアーギュメンテーションの評価フレームワーク
    雑誌名・巻号・ページ・年月:理科教育学研究, 55(1), pp. 3-12, 2014.7
    論文の概要:真正の科学実践であるアーギュメンテーションを理科授業に導入するための研究が着目されている。そこでは,学習者のアーギュメンテーションを評価するためのフレームワークの提案がなされてきた。しかしながら,提案されてきた評価フレームワークは,同じToulminのアーギュメントモデルに立脚しているにも関わらず,それぞれの内実が異なっている。本研究の目的は,口頭のアーギュメンテーションを対象にした5つの代表的な研究を比較,検討することによって,評価フレームワークにおける共通点と相違点を見出すことであった。その結果,共通点として主張・データ・論拠・裏付けが含まれていること,相違点として限定詞と反論の扱いが確認された。これらの共通点と相違点を考察することによって,より望ましい評価フレームワークを提案できる可能性が示唆された。
  • 著者:稲葉慎太郎(人間行動専攻 博士課程後期課程),山口泰雄
    論文題目:総合型地域スポーツクラブの運営評価の特徴のソーシャル・キャピタル形成による比較研究:「スポーツクラブ21ひょうご」のケーススタディ
    雑誌名・巻号・ページ・年月:体育・スポーツ科学,23, pp.1-10 2014.6
    論文の概要:本論文は,総合型地域スポーツクラブのクラブ運営評価の特徴をソーシャル・キャピタル形成の比較から明らかにすることを目的としている。ソーシャル・キャピタル4因子で指数化を行い,それぞれの因子において高レベル群・低レベル群の2群間で,総合型地域スポーツクラブの運営評価の平均値の比較を行った。その結果,4因子それぞれの高レベル群において運営評価が高く,特に,スポーツ関係者のネットワークが高い群では運営評価13項目中12項目において有意に高い値が認められた。
  • 著者:佐々木里菜(人間発達専攻 博士課程前期課程),山口泰雄
    論文題目:スポーツ政策の事業評価に関する一考察:「地域スポーツとトップスポーツの好循環推進プロジェクト」に着目して
    雑誌名・巻号・ページ・年月:体育・スポーツ科学,23, pp.53-63, 2014.6
    論文の概要:本論文は,文部科学省によるスポーツ振興プログラムのアウトカムと課題を明らかにすることを目的としている。アウトカムは,事業参加者の運動・スポーツに対する意識や姿勢の変化,受託団体と小学校との新たな連携体制の構築,受託団体側のアスリートという人的資源の確保,アスリートのセカンドキャリア形成の4つであった。課題は,事業実施のための資金不足,事業実施期間の短さ,事業受託終了後の受託団体での事業継続の3つであることが明らかとなった。
  • 著者:与那覇秀勲,稲葉慎太郎(人間行動専攻 博士課程後期課程),山口泰雄
    論文題目:兵庫県における総合型地域スポーツクラブの運営評価に関する研究:補助金終了後のクラブに着目して
    雑誌名・巻号・ページ・年月:体育・スポーツ科学,23, pp.73-79, 2014.6
    論文の概要:本論文は,行政からの補助金が終了した総合型地域スポーツクラブのクラブ運営評価について,クラブ代表者によるクラブ評価とクラブアドバイザーによるクラブ評価との関係性を明らかにすることを目的としている。結果として,クラブ代表者によるクラブ評価は,全ての項目においてクラブアドバイザーによるクラブ評価を上回り,両者に評価の相違が生じていた。また,クラブアドバイザーの総合評価を規定する要因として,「多種目」,「クラブハウス」,「経理面」,「社会公益性」が明らかとなった。
  • 著者:呂路(人間行動専攻 博士課程後期課程),髙見和至 他
    論文題目:Influence of Sports Activities on Undergraduate'Aggression: An Analysis on Shyness'Intermediary Function
    雑誌名・巻号・ページ・年月:Journal of Beijing Sport University, 37(6), pp. 70-75, 2014.6
    論文の概要:本研究の目的は,大学生の攻撃性にスポーツ活動が及ぼしている影響を,シャイネスを媒介要因としたモデルから検討することである。中国国内の大学生2366名(平均年齢20.57歳,標準偏差1。38)を対象としてアンケート調査を実施した。性差に関しては,身体的攻撃性において有意差がみられ,男子が女子を上回っていた。また学年による推移では,1-2年生間で上昇し,2-3年生間で減少する傾向がみられた。構造方程式モデリングを用いた分析では,スポーツ活動が攻撃性に及ぼす影響は直接的よりもシャイネスを媒介しており,スポーツ活動がシャイネスを低下させることで攻撃性の低減にも作用していることが示唆された。
  • 著者:呂路(人間行動専攻 博士課程後期課程),髙見和至
    論文題目:The development of the revised Chinese university-students social skill inventory and the current state of social skill
    雑誌名・巻号・ページ・年月:China Journal of Health Psychology, 22(6), pp. 884-889, 2014.6
    論文の概要:既存の中国大学生用社会的スキル尺度 (ChUSSI) では,作成の際のサンプルが偏っていたことや因子構造の検討に不十分さが残されていた。そこで,中国の北京市・上海市・重慶市・浙江省・江蘇省・江西省・湖南省・四川省・遼寧省にある合計10大学の大学生1年~4年生計2300名を対象として,現代の中国人大学生の社会的スキルを多面的に測定できる質問紙を開発し,信頼性妥当性の検討を行った。その結果,「思いやり」「社交性」「シャイネス」の3因子,全34項目からなる尺度が構成され,各種属性による分析を行った。
  • 著者:若山満大(人間発達専攻 博士課程前期課程)
    論文題目:芸術写真の〈地方〉における展開に関する研究ーアマチュア写真団体・金沢写友会の活動をめぐって
    雑誌名・巻号・ページ・年月:日本写真芸術学会誌,23(1), pp. 19-30, 2014.5
    論文の概要:金沢写友会を事例として,日本写真史における〈芸術写真〉の受容実態を検討したもの。作品,言説,関係者の談話などの一次資料に基づいて検討し,金沢写友会の特質として,(1) 独自の意味世界の中に〈芸術写真〉を取り込み展開させたこと,(2) その結果としてさまざまな様式がひとところに共存することになったことを明らかにした。