研究データ等の保存期間等に関するガイドライン

1. 目的
このガイドラインは、「神戸大学における研究データ等の保存期間等に関するガイドライン」に基づき、人間発達環境学研究科(以下「本研究科」という。)において研究活動に従事する教職員、研究員及び学生等(以下、「構成員」という。)が本研究科における研究活動に伴い作成・取得した研究データ等の保存期間等について必要な事項を定めるものとする。
2. 基本的な考え方
  • (1)研究活動に従事する者は、自らの研究活動に対して、倫理的な自律により、責任を持って対応することが基本となる。
  • (2)公的な資金によって実施された研究で生み出された成果やそのもととなる研究データ等は、公的資産としての性格も有することから、それらを適切に管理・保存し、必要に応じて開示することは、本研究科で研究活動を行う構成員に課せられた責務である。
  • (3)構成員が論文等の形で発表した成果に対し、後日研究不正の疑念を持たれるようなことが生じた場合には、構成員自らがその疑念を晴らすことができるよう、研究に関わる資料等を適切に保存することは、共同研究者、資金配分機関、本研究科及び社会に対する責任である。
  • (4)以上のことを踏まえ、「研究データ等の保存は、それらを生み出した構成員自身が主たる責任を負うものとし」、発表した論文等に使用した研究データ等の保存に関しては、当該論文等の代表著者及び研究科長が責任を負うものとする。
3. 研究データ等の保存の対象
  • (1)保存の対象となる研究データ等は、研究活動に伴い発生または使用する、資料(文書、数値データ、画像、アンケート調査資料、聞き取り資料等)、試料(実験試料、標本)や装置等「もの」等、構成員が外部に発表した論文や報告等の研究成果に関するものであって、構成員が当該研究活動の正当性等を説明するために必要となるものをいう。
  • (2)複数の研究者と共同で行った研究の成果に係る研究データ等については、当該研究者が担当した部分について保存する。
4. 論文や報告等、研究成果発表のもととなった研究データ等の保存方法
  • (1)各構成員は、論文や報告等、研究成果発表のもととなった研究資料(文書、数値データ、画像、アンケート調査資料、聞き取り資料等)は、後日の利用・検証に堪えるよう適正な形で保存しなければならない。
  • (2)実験・観察等をはじめとする研究活動においては、その過程を実験ノート等の形で適切に記録として残すものとする。
  • (3)実験ノート等には、実験等の操作のログやデータ取得の条件等を、後日の利用・検証に役立つよう十分な情報を記載し、かつ適切な形で作成し,研究活動の一次情報記録として適切に保管するものとする。
  • (4)実験ノート等に紙媒体を採用する際には、事後の改変が行えないよう消去が困難なインクで記載し、それぞれ記載日時を明記するものとする。
  • (5)実験ノート等に電子媒体を採用する際には、事後の改変が行えないよう一定期間毎に書き換え不可能な媒体に記録し直すことが望ましい。
  • (6)インターネットに接続されている端末あるいはハードディスクをデータ保存用として使用する場合には、適切な情報セキュリティ対策が講じられていることを必須とし、必要に応じてDVD等の耐久性の高いメディアへのバックアップを行い、適切に保存することとする。
  • (7)論文や報告等、研究成果発表のもととなった文書、数値データ、画像、アンケート調査資料、聞き取り資料等の記述データ、生データ、ダウンロードデータの保存に際しては、後日の利用・参照が可能となるようにメタデータの整備や検索可能性・追跡可能性の担保に留意するものとする。
5. 研究データ等の保存期間
  • (1)資料(文書、数値データ、画像、アンケート調査資料、聞き取り資料等)については、原則として、当該論文等の発表後10年間とする。
  • (2)試料(実験試料、標本等)や装置等「もの」については、原則として、当該論文等の発表後5年間とする。
6. 研究データ等の保存期間の特例
保存が本質的に困難なもの(例:不安定物質、実験自体で消費されてしまう試料)や、保存に多大なコストや膨大なスペースが必要なもの等,止むを得ない事情がある場合は、研究科長に書面により事前に報告のうえ、別途保存年限を設定するか、または、合理的な範囲内で廃棄することができる。
7. 法令等による取扱い
  • (1)研究データ等の中に、個人情報等の法令等により保存期間が規定されるものがあるもの、社会科学分野の調査データ等データの扱いに法的な規制・ガイドラインがあるものについてはそれに従う。
  • (2)倫理上の配慮を必要とするもの、知的財産権が絡むものについては、それらの規制やガイドラインに従う。
  • (3)特定の研究プロジェクト、共同研究等において、研究データや成果物等の取扱いについて、保存期間に関する契約若しくは定めが別途あるときはそれに従う。
8. 退職、転出の際の研究データ等の引継ぎ等
異動又は退職等により転出する構成員が管理する研究データ等のうち、保存すべきものについては、研究科長の責任の下、引き継ぎやバックアップをとって保管するか、若しくは、研究科長又は関係する各構成員が当該構成員との連絡体制を維持すること等により、追跡可能性を確保する等の措置を講じるものとする。
9. その他
このガイドラインに定めるもののほか、必要な事項は別に定める。
附則
このガイドラインは、平成28年5月20日から施行し、平成28年4月1日から適用する。